恐ろしいまでの徹底したリアリティー。迫真の描写に思わず背筋がピリつく。
- ★★★ Excellent!!!
U-24杯優秀賞受賞作。『蒼鴉城 vol50』にて拝読させていただきました。
本作は怪談師の深寺がライターの乙野とともに「猫の怪談」について様々な人の実体験を蒐集していくというお話です。
最初は淡々と伝聞形式で説明される感じだったのが、終盤に入ると怒濤の展開に。その迫真の描写には思わずのめり込んでしまいました。前半で散りばめられていた情報が結末にて一気に収束していきます。
初め本格ミステリとして読むべきなのかホラーとして読むべきなのか分からなかったのですが、(ミステリ的謎解き要素は持ちつつも)本作はホラーですね。めちゃくちゃ本格的なホラーです。とにかく描写の臨場感が凄まじく、脳内で作中の場面が再生されているかのようでした。
視点は深寺の三人称一元に固定されていて、非常に読みやすいです。「怪談師のネタ探し」という設定にも惹きこまれました。
キャラクターもリアリティーを壊さない程度に絶妙に立っていて良かったです。
ライター・乙野は底抜けに明るい感じのキャラが作中の描写を引き立てています。加えて「拝み屋」の椿野灰門は怪談話を達観した視点で眺めており、怪談への好奇心を原動力として活動する深寺とは対比的に描かれていて興味深かったです。
最後のオチも、一度収束したかに思われた物語に大きな広がりを持たせるような形になっていて、カタルシスを感じました。