その後フィンはどこへ向かったか

事故の怪我により笛吹きの道を断たれた主人公フィン。
音楽舞踏団の雑用係としてそれなりの充実、それなりの幸福を感じている彼だが、幼い日に聞いた伝承の楽園——光の森への道はいつになっても茫洋として見えなかった。
なぜなら彼には、誰にも言えないある秘密があり——

いや、驚きました。
作者・深山心春さまの新境地でございます。

風の流れや土の匂い、行き交う人々の息遣いまで感じられそうな細やかで丁寧な描写はいつもの深山さまですが、過去と現在、光と闇が交錯する立体的で多層的な構造と展開はこれまで以上に読者を引き込みます。

設定は映画『リプリー』を想起させるかもしれません。
しかし決して似ているわけではなく、終盤で「光の森」へと辿り着いたフィンには救いが残されています。

本当に素晴らしいです。
おススメです。ぜひぜひ!

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