志を見失い、自分がなんで苦労しているのかもわからず、日々の暮らしに追われ、
夢ってなんだったのか、見失う。
演劇界ではこのような状態に陥ることを、「遭難する」なんて呼ぶことがあります。
物語の主人公は、まさに遭難した状態で、無気力に、
公園の芝生で寝転んでいました。
なんでもできる気がしたあの初期衝動。あれはどこへ消えた?
親に見送られて向けた背中。あれは嘘だったか?
主人公の目に、虚しく空が映ります。
そんな時でした。
主人公は見てしまうのでした。
親子連れ。
子供が、空に向けて、一生懸命手を伸ばしているのです。
なんでも雲を掴むために。
雲が綿菓子に見えたのでしょう。それを、お母さんの苦いコーヒーに入れて甘くしてあげるために、ジャンプして、ジャンプして、掴めるはずのない雲を掴もうとしていました。
これに心を打たれた主人公。しかし、現実は非情です。
突然の事故。
動かなくなった右腕。
しかし、
「それがなんだ」と言わんばかりに奮起する主人公は、最高の相棒と出逢います。
結果が残らないことは、本当に意味がないことなのか?
葛藤を抱えているあなたはきっと、本作で涙を流すはず。
このレビューの最後に、
雲に向けてジャンプした子供になぞらえて、
伝説のロックバンド、ザクラッシュのリーダー。ジョーストラマーの言葉を借りて締めくくりたいと思います。
「月に手を伸ばせ。たとえ届かなくても」