大正浪漫×人外×吉原と、なんともエモくせつない恋物語です!

 天涯孤独の八重は、吉原では桔梗という芸者として身を立てていました。
 ある日、雷が落ちて火災となり、八重は何もかもを失ってしまった。隅田川で入水をしようとした彼女を救ったのが、龍来屋という茶屋の主人。

 訳ありです。

 これは吉原という華やかですが、虚構の街で、あやかしを相手に舞う看板芸者となった八重の物語です。

 この物語のもっとも大きな魅力は、その圧倒的な雰囲気作り。三味線の音や着物の擦れる音、そして人ならざる者たちの気配が、文章を通して鮮やかに立ち上がってきます。

 切なさと温かさが同居する、美しくも儚い珠玉の名作です。

 どうぞ、お読みください。

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