吉原というとまず江戸時代を思い浮かべますが、こちらは大正時代。
設定も珍しいですが、それでもしっかりとした下調べの上で書かれていることが文章のあちこちから窺えます。
主人公は、まだ年若いながらに三味線の腕前と喉と、自分の力だけを頼りに生きている女性です。
それでも、懸命に頑張っているにもかかわらず不幸に見舞われ、何もかも失って絶望してしまうのですが……。
そんな彼女にも救いがあり、茶屋の主人が手を差し伸べてくれます。
でも、この茶屋の主人にも秘密があり……。
タイトルにも「あやかし」と入っているように、ファンタジー要素が上手く溶け込んでいます。
主人公の周りで起こる事件はどのような解決を見せるのか、先が気になってすぐに読み終えてしまうこと請け合いです!
大正時代の吉原で芸者を営む八重。天涯孤独の彼女は突然の火事で全てを失う。死を決意した彼女に声を掛けたのは、茶屋の主人皓月。
芸者と茶屋の主人が恋仲になるのは難しい。それなのに皓月は、芸一本で生きていくと心に決めている八重に「やりすぎやん」と突っ込みたくなるほど優しく接する。この御仁お料理がとっても上手で、すっかり胃袋と恋心を掴まれてしまった八重。
そんな、ままならない恋物語かと思いきや、皓月の真の姿はお堀の主の大蛇だった。ここからあやかしの世界で八重が活躍し、皓月との仲もじわじわと……。
しかし吉原ではよからぬ事件が起こり、あやかしの世界も存続が危ぶまれる事態に。
大正ロマン×あやかし×ミステリー。後半はハラハラする展開が待っています。
読み始めてから毎朝の更新が楽しみで、どっぷりと物語の世界に浸らせていただきました。
没頭できたのには理由があります。
まず、キャラクターが素敵! 勝ち気でありながら一途で初心な八重、色男でありながら好き好きオーラを隠せない皓月、登場人物がみんな立体的で、行動も心の動きもリアルなのです。
物語の緩急が絶妙! ヤキモキしたりキュンキュンしたりと言った恋愛パートとハラハラするシーン、合間にほっと息を付いて吉原やあやかしのお座敷の様子を楽しめるシーンが絶妙なバランスで配置されていて、読んでいて飽きません。
場面や時代背景の見せ方が上手い!
吉原やそこで働く人々、そして大正という時代背景、文化や人々の営みを、小うるさい説明をせず、エピソードや小物で語っています。知っている人ほど語りたくなっちゃうと思うんですが、見せ方が本当に粋だなーと思いました。
この物語、コミカライズして欲しいです。できればアニメ化とか。
とにかく沢山の方に読んで欲しい! 自信を持ってお勧めします!
天涯孤独の八重は、吉原では桔梗という芸者として身を立てていました。
ある日、雷が落ちて火災となり、八重は何もかもを失ってしまった。隅田川で入水をしようとした彼女を救ったのが、龍来屋という茶屋の主人。
訳ありです。
これは吉原という華やかですが、虚構の街で、あやかしを相手に舞う看板芸者となった八重の物語です。
この物語のもっとも大きな魅力は、その圧倒的な雰囲気作り。三味線の音や着物の擦れる音、そして人ならざる者たちの気配が、文章を通して鮮やかに立ち上がってきます。
切なさと温かさが同居する、美しくも儚い珠玉の名作です。
どうぞ、お読みください。
面白すぎて最新第8話までを一気読みしてのレビューです。
物語の世界にどっぷり浸からせてくれる安定の文章力で読みやすく、大正時代の吉原の様子が色鮮やかに描かれています。時代背景や吉原のシステムについての説明も小出しにしてくれていますので、興味深く読むことができますよ!
何より、ヒロインの高感度が高いです!
吉原芸者で身を立てている八重は、意外にもド根性系。三味線や唄の技術は折り紙付きで、周囲の人たちとの関係も良く、精神的に大人の女性なのです。
いいなと思い始めている茶屋の主人・信明との関係を深めることはご法度なのですが、八重の恋はゆるりと育ち始めていて……。
自分の気持ちにブレーキをかけながらも、変に反発することなく真っ直ぐに信明を見て、素敵だなと素直に思う八重もとっても素敵。心から応援したくなります……!
そんな八重の恋のお相手として、信明は十二分に格好良い男性です。なんだろう、やることなすこと粋なんです!
こんな彼が実はお堀の主で大蛇だとか、彼の茶屋が、実はあやかしたちが疲れを癒しにくる料亭だったりだとかいう情報があらすじにあるんですよ。
これは、今後が楽しみすぎでは!?
今ならすぐに最新話に追いつけます!
お薦めです(^^)!
大正時代の吉原。
天涯孤独の八重は、唄に三味線、踊りで身を立てる芸者である。
芸者は、けして〝身体〟を売らない。
花魁たちの仕事を奪ってしまうからである。
また、同業者と恋仲になることも歓迎されない。風紀を乱すからだ。
ある日、火事で家を失ってしまった八重。
借金まみれとなってしまう。
窮地を救ってくれたのは、龍来屋(たつきや)という茶屋の主人。
優しい心遣いに、ほだされかかる八重。
しかし、龍来屋の主人は、もろに同業者。
真面目な八重は、この恋は成就しない、と己に言い聞かせる……。
丁寧に吉原の風景や良俗が描かれて、読み応えのある歴史ファンタジーです。