「祝福の歌」と「死にたい」が重なる、あのプロローグに心を掴まれた

第0話を読んだ瞬間、続きを読まずにはいられなくなりました。

合唱コンクールの祝福の歌が響く放課後、静かに首を吊ろうとする少年。「終わる」に「はじめる」とルビが振られた瞬間の、あの息が詰まるような感覚。そして日付が5月15日から4月20日へと遡り、「なぜ彼はここに至ったのか」を追いかける構成に引き込まれました。

リクの描写がとても誠実です。布団に包まって叫び、「不幸最高! 世界滅亡しろ」と発散する"儀式"。これがあることで、彼がただ救いを待つだけの存在ではなく、自分なりにもがいている人間として伝わってきます。

そしてエイト。金髪に蛇柄財布、チャラい口調なのに「死にたくなったら、いつでも電話しな」と言い残して去っていく。この風通しの良さが、重いテーマの中で読者を息苦しくさせない設計になっていると感じました。

「特殊音楽療法心療士」という胡散臭くも惹かれる肩書き。これがどう物語に作用していくのか、続きがとても楽しみです。

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