仕事のノルマと家庭の「団らん」の間で、どこにも居場所がない42歳の息苦しさが、妙に現実的に胸に来ました。
営業スマイルで感情を押し殺し、家でも会話に混ざる気力が残っていない――その“何も起きてないのに削れていく”感じがリアルです。
そんな陽介が、物置に眠ってた折り畳み椅子を庭に出して座るだけで、やっと呼吸できる場所を作る展開が上手い。大げさな救いじゃなく、「一歩外に出る」「誰にも邪魔されない数分」を確保するのが、疲れ切った社会人の再起の始まりとして説得力ありました。
この先、庭がただの逃げ場から“自分の手で整えられる居場所”に変わっていく予感がして、続きを読みたくなります。
昨今のキャンプブームは、大掛かりなレジャーではなく、気軽でミニマムなアウトドアへと移りつつあるようですね。
「ゆるキャン△」とか「ふたりソロキャンプ」とかの影響でしょうか。
でもこのロマン、やってみればわかる、やってみないとわからない、不思議な魅力があるんですよね。
原始的で非効率、時々失敗する。
だからこそ、現代の高度で効率的で、失敗を許さない社会において、それが癒しとして強く感じられるのかもしれません。
この対比の構造も、なかなかにいい味出してます。
そして、会社との対比だけでなく、「家庭という日常」がすぐそばにあるというのもまた、本作の大きなポイントかもしれません。
庭での活動は、家庭とは地続きです。
だからこそ、色々と気を付けたり、気になってしまうことがあったり。
そこもまたリアリティというやつですね。
小さな庭で繰り広げられる、とても地味な、しかし大きな意味のある活動記録。
日常の中のほんのささやかなリフレッシュが感じられる本作、是非ともご参考になさってください。