物語が刃になる、その構成美

吟遊詩人の「べべんべんべん」で始まり、同じ音で終わる。この円環構造が美しい。

「物語の天使」という呼び名が、誰から授けられたものだったのか。金髪のかつらが、誰の髪だったのか。読み終えて振り返ると、すべてが繋がっていく。短編でこの伏線の密度は見事です。

「人は皆、物語が大好きなのだから」——この一言が持つ皮肉の重さ。語ることで生き延び、語ることで復讐を果たす。

物語そのものが刃になる構成に、ぞくりとしました。

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