主人公のリクは、両親を相次いで亡くしたばかりの男子高校生。
父が事故で亡くなり、一週間後には母が首を吊って自殺。冒頭では教室で、合唱部の祝福の歌を聴きながら、カーテンで作ったロープに首を巻き付けるという胸を締め付けられるようなシーンから話が始まります。
そんなリクの前に現れたのが、破天荒な風貌の「特殊音楽療法心療士」を名乗るエイト。
ツンツンの金髪、両耳のピアス、派手なシャツにチェーンをジャラジャラつけた彼の登場で、それまでモノクロームだった話がぱっと色鮮やかになります。
エイトがもたらしたのは色彩だけではなく、賑やかさ――音とともに、リクの心にするりと入り込んでくる。
そして物語の核心部分が明らかになります——この世界には「自殺意」という目に見えない存在が蔓延しているのです。
エイトは特殊音楽療法問技を用いてその自殺意を可視化。黒い靄のような物体として姿したそれを、エイトは自分の体内に入れます。要するに希死願望を肩代わりして自身で必死に抑え込むことにより、他人を自殺意から救うのです。
物語の背景には、日本で爆発的に増加する自殺者の問題があります。テレビのニュースで「ここまでの増加率は前例にない」と報じられ、年齢や性別を問わない異常な増加傾向が示されます。これは単なる社会問題なのか、それとも人知れぬ悪意なのか——という謎が物語を貫いています。
一章の終わりでは両親を亡くしたリクの世話をしていた叔母がこの自殺意の魔の手にかかりますが、エイトの活躍により阻止。
叔母が苦労しながら自分を何とか支えていたと知ったリクは、これ以上心配をかけないよう、悲しみの唐を少し破る決意をします。
第二章では、そんなリクをエイトが貢献することとなり、二人の共同生活が始まります。
親を亡くして以来行けていなかった学校にも通い出したリク。なかなか打ち解けられない中、君鳥ナナという同級生と話すようになり、彼女との関係が気になるところ。
また、エイトの過去も少しずつ明らかになります。元保護観察の対象だったエイトは、保護司だった倉田という老紳士の影響で心療士になったとのこと。
しかし、なぜ保護司が付いていたのかなど、まだ分からないことも。
リクがこれからどう変わっていくのか、自殺意の正体は何なのかも気になります。今後の展開が楽しみです!!
というと、印象が作品に近づくかも知れない。
見た目ビジュ系バンドマン、中身チャラ系ヤバ男⋯と見せかけて、心から人を救いたいという真面目極まりない願いを奥に隠すエイトさんのキャラクターがとても良い。
まだ途中の作品ながら
すでに魅力的で、先が気になるところ。
個人的にはエイトさんのエピソードがいっぱい見たい。
辛い時ってさ、「どうしてこんなに生きたいと思ってるのに、死ななきゃならないんだろ」みたいな矛盾が平気で胸に居座る。
中学生で自立できてない、社会人◯年目でもまだおろおろする。
シングルマザーなのに頑張れてない。
そんなの、あんたのせいじゃねえよ!
エイトさんはきっと、そんな風に言ってくれると信じて。
まだまだ先をこうご期待なのです。
第14話(第1章)まで読みました。両親を短い間に一度に失った少年、リク。そんな彼の前に現れた怪しい青年、エイト。エイトはセラピストだと名乗り、リクはエイトのカウンセリングを受けることになるのですが、その方法はリクが想像もできないものでした。
と書くと、心温まるヒューマンドラマのようですね。実際、そうなのですが、ところが途中である設定が明らかになる辺りで、物語の方向性が徐々に変わっていきます。そういう設定は予想していなかったので、ちょっと驚きました。
セラピストのエイトが、一見でたらめにしか見えないのに、人の心の扉を叩き、それを開けさせる不思議な力があります(「人の心の扉を開ける力」ではないところに注意)。そんな彼とリクのコンビの、噛み合わないようで噛み合うやりとりを読んでいるうち、不思議に物語に引き込まれました。
心が温まり、しかも不思議な現代ファンタジーでもあります。第2章以降、色々な方向に話が広がりそうで、楽しみですね。
プロローグ部分が不穏で、そこで心を掴まれつつも締め付けられるような想いになりますが、全編通して優しさの溢れる美しい物語です。
概要にも書いているように、心理学的カウンセリングの代わりに、ファンタジー的な要素で問題解決をはかりますが、カウンセラーの詠人がとても真摯な人物で、好感が持てます。
本作の主人公、陸はとても悲しい過去があり、自殺願望を抱いていますが、その痛みを癒すのは、詠人の誠実さのように思えます。自殺したい理由というのは、本人以外には完全には分からないことが多いと聞いた事があります。そのため、専門のカウンセラー以外の人が生半可な知識で対応すると、不幸な事故が起こることが多いのだとか。その辺、本作かなりリアリティがあると感じました。
かなり構成が綺麗な物語で、出来事の発端から、人物の描写、独自要素の紹介と一旦の解決と、お手本のような構成になっていると感じました。一旦13話で問題が一区切りついているのですがまた、最新話である14話で新たな真相と展開があり、読者を飽きさせない作りになっています。
題名で暗い話だと思ってしまいますが、実際は全くそんなことはないので、そちらで判断せず、一読していただくことをお勧めします。