42歳のすみかは庭になりました

このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む（613文字）

昨今のキャンプブームは、大掛かりなレジャーではなく、気軽でミニマムなアウトドアへと移りつつあるようですね。
「ゆるキャン△」とか「ふたりソロキャンプ」とかの影響でしょうか。
でもこのロマン、やってみればわかる、やってみないとわからない、不思議な魅力があるんですよね。

原始的で非効率、時々失敗する。
だからこそ、現代の高度で効率的で、失敗を許さない社会において、それが癒しとして強く感じられるのかもしれません。
この対比の構造も、なかなかにいい味出してます。

そして、会社との対比だけでなく、「家庭という日常」がすぐそばにあるというのもまた、本作の大きなポイントかもしれません。
庭での活動は、…続きを読む

各話の題が、４２歳で始まる。
何だかしつこささえ感じないでは、ない。

だが、そのしつこさあふれるお題をクリックすると。・・・。
あら不思議？！
淡々と、物語が進んでいきます。

このリズム感が、たまりません。
４２歳のおじさん、失われた居場所を回復していく物語。
いいですねぇ。

そんな中年期を送りたかった私は、今、５６歳。
今からでも、遅くないかな、居場所探し。

私は31歳で奥様も子供もいませんが、読んで良かったと想いました

読み始めはソロキャンしたいな〜とか想いましたが、幸福の伝播が温かい文章で心に沁みました

このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む（184文字）

主人公が42歳なので気にしていましたが、安心して読める作品です。
丁寧で読ませる文章力がとても素晴らしいです。
庭でビールを飲むだけのシーンですら、輝いて見えるような繊細さで描かれています。