「民俗・伝承」を含む小説

はじめに：本書について 本書は、編者の元に届けられた一冊の調査ファイルをもとに編集・構成されたものである。 ファイルは、故・〈高橋健二〉氏（元図書館職員）によって収集・記録さ…

─天気予報の裏側で繰り広げられる「戦い」を、あなたはまだ知らない─ 雪国の気象予報士・佐倉深雪は、地域の空に異変を感じていた。 神社に仕える神職・神崎彩花と出会い、共に災いをも…

夏の夕暮れ、縁側で過ごす＊＊の前に、突然“和服の少年”が現れる。 彼が姿を見せるたびに、蝉の鳴き声は止み、空気はひんやりと歪む。 おくり村 「遊ぼう」 少年はそう言って、どこ…

田舎の少年・太郎と哲也は、暇つぶしの冒険で大人に禁じられた 北の森 へ足を踏み入れる。 その先に広がっていたのは、どこにも告知されていない奇妙な祭り── 『みらい祭り』 だった。…

「音は『聞く』ものではない。『観察する』ものなのだ」 かつて音楽界の異端児と呼ばれたピアニスト・黒崎広治は、今は家を売り、世界中の不思議な音を収集して暮らしている。彼が辿り着いた…

T大学第3文化棟の最奥に存在するサークル。 世に蔓延る怪事案。 名を馳せる大学の俊才達。 事故で亡くした最愛の姉。 運命の舞台は、確かに揃っていた。

地図にない村「石籠（いしずめ）の里」。 かつて神を封じたという巨石が鎮座し、村人たちは口を閉ざす。 禁忌を破った者には、石子詰めの儀式が待ち受ける――。 民俗学を専攻する大学生…

2015年、京都の若き民俗学研究員・三度哲夫は、 福井との県境にある小さな町・**止栄（とまり）**を訪れる。 目的は、三百年続くという一族の舞「神事舞（しんじまい）」の調査。…

魔物を封印する。それが私の務め――漁師たちの船を襲うその存在は、巨大な蛸とも烏賊とも海月とも言われるが、誰も真実を知らない。 神社の神職・高梨紗花は、地域の守護神から怪物を封じ…

※本小説は『ツキモン』に関する取材資料をまとめた資料群です。 ※本小説ではプライバシー保護の観点から一部情報をぼかして掲載しています。 ※ツキモンに関わらないでください。

東京の黒崎探偵事務所に持ち込まれたのは「湖で弟が消えた」という依頼だった。夜ごと響くのは、母のように優しい“歌声”。しかしその旋律に誘われた者は二度と戻らない――。二人は再び悪夢…

仙浦高校（せんのうらこうこう）の新学期。 変人と噂のクラスメイト・相馬のあとをつけてみた三好。 相馬が追っていたのは、地元に残る古い伝承と、今はもう地図にない町。 なんとなく気に…

にへとは、昭和初期に見られた「水死体」の事である。 にへを見た者は、驚きと恐怖、悲しみを感じるという。 そして、にへを見た者は、近いうちににへとなると言われており、にへの連鎖を断…

空から火蜥蜴（サラマンダー）が降り注ぐ世界。 その皮を素材に「火傘」を作る職人は、ある日、生き延びた幼い火蜥蜴を拾ってしまう。 命として育てるか、素材として仕立てるか――迷いなが…

特殊な能力を持つ大学生・聖と、呪われた家系と言われて育った留学生・ホンを中心に進むストーリーです。「真夏の夜のウドンターニー」「ゴールデン・ボーイ」の続編になります。ちょっと不思…

本書『現代狸風説考──人と異界のあいだに棲むもの』は、著者・小境震え氏がライフワークのひとつとして十数年にわたり重ねてきた取材記録をもとに編まれたものである。 小境氏は学生…

秋の山頂に広がる夕景を見たはずだった。 だが返事をした瞬間、景色は夏の真昼に変わり、次には雪の白に沈む。 季節も時間も意味を失い、ただ狂った映像のように目の前を流れていく。 …

もしも、誰にも名前を呼ばれなくなったら。 もしも、知っている人が、あなたの存在を忘れていったら―― 伊勢の山奥に残る“封じ籠”の儀式と、女だけが消えるトンネル。 名前に宿る呪いが…

森羅万象、八百万の神々、日本各地の伝承を歴史家が解いていく。 現実と非現実の間で起こる事件をお話しします。

時は戦国時代、備後の国。 たたら製鉄の盛んな村に、マキという美しい娘がいた。 マキに言い寄る男たちは山ほどいたが、「想い人がいる」と袖にしてしまう。 怪訝に思った乳母は男の袖に針…