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総合の短編ランキング

2万文字未満かつ完結済の作品を直近30日間のデータで集計しています。
  1. 【書籍化決定】魔法師団の灰かぶり姫 ~極上の野良犬が押しかけペットになりまして~ (旧題:恋人に「お前ただの金蔓だから」と言われた場合の最適解)/

     魔法師団に勤めるエリザは、士官を目指す恋人のために学費や生活費を援助していた。だが彼の誕生日にプレゼントを持って訪れたエリザを恋人は『お前ただの金蔓だから』と罵り、友人たちと一緒になって嘲笑った。 ショックで言い返すこともできず、黙ってその場から去る。  失意のあまり公園のベンチに座り込むエリザ。  夜が更け、気が付くと隣に薄汚れた男が腰かけていた。持っていたケーキの匂いにつられてきた路上生活者のようだった。  エリザは傷心のあまり、その男に訊かれるまま元恋人となった彼の愚痴をこぼす。  同情されるかと思いきや、エリザが恋人をクズに育てたのでは? と男はエリザに非があるようなことを言う。  カッとなるエリザに対し、男はニコニコと笑いながらとんでもない提案をもちかけてきた。 『そのクズ男の後釜に、僕を飼いません?』  自暴自棄になっているエリザは、何か裏がありそうな男の口車に乗る選択をして――――。 ※再掲載です。  色々修正していたらうっかり消してしまいました……ブクマしてくださっていた方、本当にすみません。 ※10月15日に富士見L文庫さまから書籍が発売予定です!   書籍は加筆されてweb版とは一部内容が異なります。  
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    【勘違い】世界最強の氷の悪役令嬢が闇堕ちしそうなので、下級貴族の俺が【姉直伝の王子様スキル】で溺愛したら、既に光堕ちして好感度がカンストしていた件/

    ここは伝説の乙女ゲーム『Sweet Heart』の世界。 今後のシナリオで、世界を破滅させる作中最強の悪役令嬢、レナ・シンシア・ルーズヴェルト。 彼女の闇落ちを防ぐため、後に捨て駒にされる下級のモブ貴族に転生したユウは、前世で四人の姉たちに叩き込まれた『理想の王子様スキル』で彼女を光堕ちさせようと奮闘していた。 だがしかし――、 「……余計なお世話よ」 冷たい言葉を残して去っていくレナを見て「また失敗した」と落ち込むユウ。 けれど彼は知らない。 (無理。尊すぎて死ぬ。ユウ好き好き好きすきすきすきしゅきしゅきしゅき……っ!!) 実は彼女は幼少期から優しくしてくれたユウに骨抜きにされ、既に好感度はカンスト状態の光堕ち済みだったのだ。 必死にレナを光堕ちさせようと奮闘するユウと、無表情の裏で悶絶している光堕ち済みのレナ。 すれ違いだらけの勘違い異世界ラブコメが今幕を開ける――。 ※作品の無断転載・翻訳・配布等は、一切許可しておりません。 ※需要がありそうであればカクヨムコンに向けて長編化も検討します。 ※続きが気になる方は作品フォロー・星評価で教えていただけると嬉しいです。
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    家を売り全財産を注ぎ込んで妻の起業を支えたのに、彼女は初恋の男のために俺の目を奪った/

     結婚記念日の朝、美沙から急に連絡が入った。投資家との打ち合わせが入ったから残業になる、予約していた映画には行けないという。  一人で街を歩き回ったものの、誰もいない家へ早く帰る気にはなれなかった。水鷺駅近くの劇場街を通りかかったとき、小さな劇場でお笑いライブの当日券が残っているのを見つけ、なんとなく一枚買った。  ライブの途中、ステージ上の芸人が客席とのやり取りを始めた。 「今日、恋人や旦那さんに内緒で来てる人います? 正直に手を挙げてくれたら、限定グッズ差し上げますよ」  最前列から、すぐに手が上がった。 「はい」  聞き間違えるはずのない声だった。顔を上げると、そこにいたのは妻の榎本美沙だった。  その隣には、知らない男が座っていた。背が高く、左の頬に薄い傷跡がある。美沙は笑いながら、スタッフから渡されたマイクを受け取った。 「今日は結婚記念日なんです。だから、本当に会いたい人と過ごしたくて」  客席から一斉に歓声が上がった。  芸人も一瞬だけ言葉に詰まったものの、すぐに隣の男へ視線を向けた。 「でも奥さん、その人が旦那さんじゃないって、どうやって証明するんです? かなりお似合いですけど」  あちこちから笑い声が響く。  後方の席から立ち上がった。椅子の脚が床を擦り、耳障りな音を立てる。近くの客が振り返り、何台ものスマートフォンがこちらへ向いた。 「証明できます」  俺を見た瞬間、美沙の顔から血の気が引いた。それでも自分では驚くほど、声は落ち着いていた。 「俺が夫ですから」  劇場の笑い声が止まった。 「この三年間の結婚記念日、美沙は一度も、本当に会いたい相手とは過ごしてなかったみたいですね」
  6. 20話分無料

    カードと猫と〈プレモン〉世界ニューゲーム/

    「ずらすにゃよ! 絶対にずらすにゃよ!? よし、今にゃ、合わせろにゃ!」 「へぇぇっきしゅんっ!!」(くしゃみ) 「ずーれーたーにゃぁぁぁぁ!???」  アップデートに失敗して起きた次元の歪み。主人公と〈神猫様〉が次元の歪みに攫われてから始まるストーリー。  ゴールデンウィーク、大型連休をとった主人公は久々に大学時代にハマっていたゲーム〈プレシャスモンスター16進化〉になぜか惹かれてプレイする。だが妙なイベントの後、テレビの中へと引き込まれた。すると目の前には大学時代ずっと来てみたかった〈プレシャスモンスター〉の世界があったのだった。  ゲーム内主人公に乗り移った本作主人公ヒイロは、〈プレシャスモンスター〉通称〈プレモン〉のリアル版をはじめからプレイする。  しかし、例のイベントの内容はどうやら〈プレモン〉の世界に影響している様子。  イベント映像で登場した元神猫様のゼスと出会い、ゼスを16進化させてイベント前の体を戻すことを約束してヒイロはリアル〈プレモン〉の世界を突き進む。  登場するモンスターを倒せばカードになり、カードからはモンスターが登場する。  全てのモンスター系統は16進化し。様々な姿へと進化する。  モンスターの進化を売りにする〈プレシャスモンスター〉というゲーム世界を全力で楽しむことに決めたヒイロは、相棒ゼスと一緒にまずは学園へ入学してストーリーをこなし、ゲーム知識を使い駆け上がっていく!  ニシキギ・カエデ最新作〈プレモン〉!  20話までで72000字の大ボリューム!  よろしければ読んでみてください!  また、ニシキギ・カエデの代表作 「ゲーム世界転生〈ダン活〉」もよろしければどうぞ!  https://kakuyomu.jp/works/1177354055504974517  2025/02/17から2枚目のイラストになりましたー!  写っているのはヒイロ、ゼス、スイリンと、アクリ、コルルです!  また1枚目のイラストである、ヒイロ、ゼス(ゼロ進)(1進化)(2進化)、スイリンと、エメリア、リネア(ゼロ進)は近況ノートに貼り付けてあります!  https://kakuyomu.jp/users/432301/news/16818093091346067796  ↑こちらからどうぞ。
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    防犯カメラを確認した夜、妻は不倫相手を寝室に連れ込んでいた/

    出張を終え、一週間ぶりに澪浜市の自宅へ戻った。  ゴミを捨てようとしたとき、ゴミ箱の中にホテルのロゴが入った使い捨て歯ブラシが見えた。  これで三か月連続だった。  先月はホテルのボディタオルの包装。その前の月には、アメニティの袋が捨てられていた。どれも決まって、俺が出張で家を空けている間に出てくる。  そこへ妻の真帆が廊下から現れた。  着ているのは、明らかに俺のものではない男物の白いシャツだった。 「修司、おかえり。疲れた?」  笑顔で近づいてきた真帆が、いつものように腕を伸ばす。  俺は半歩ずれて、その腕を避けた。 「俺がいない間、誰か来た?」 「どうしたの、急に。この一週間、ずっと一人だったよ」  数秒だけ真帆の顔を見たあと、俺は何も言わず寝室へ向かった。  部屋には、ごく薄い煙草の匂いが残っていた。  俺は何年も前に煙草をやめている。  スマホを取り出し、防犯カメラのアプリを開いた。  出張初日の夜。  見知らぬ男が俺の部屋着を着て、リビングのソファに座っていた。  その膝の上には真帆が座っている。  次の瞬間、二人はキスをした。
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  10. 鬼教官として名高い騎士団の「ハズレ師匠」に転生した。落ちこぼれの新人を史上最強に育て上げたら、なぜか聖女や王女まで弟子入り志願してくるんだが?/

    【書籍化&コミカライズ決定しました。ありがとうございます】 ◎書籍版第1巻は10月1日、富士見ファンタジア文庫から発売予定◎ 過労死した俺が転生したのは、やりこんだRPGの嫌われ者モブ教官「カイエン」。才能のない新人を潰すことで有名な「ハズレ師匠」だ。 そんな俺が最初に担当することになったのは、原作では心を折られて退団する運命の少女「リナ」。 「この子のバッドエンドな未来なんて、俺が変えてやる!」 決意した俺は、原作知識をフル活用。一見無意味で過酷な訓練を課していく。それは全て、ゲームの仕様の穴を突く、隠しステータスを解放するための育成法だった。 結果、落ちこぼれだったリナは王国最強の騎士へと覚醒!するとその噂を聞きつけた聖女や王女様までが「私もしごいてください!」と押しかけてきて……!? これは、ただのゲーマーが悪名高い鬼教官の仮面を被り、勘違いされながら落ちこぼれたちを救っていく物語。 ★9/02 日間総合ランキング1位、ありがとうございます! ★9/04 週間総合ランキング1位、ありがとうございます! ★9/16 月間総合ランキング1位、ありがとうございます! ※小説家になろうなどにも投稿しています。
  11. 31

    俺が毒蛇に噛まれたのに、婚約者は救急用品をすべて別の男に渡した/

     結婚を控えた旅行の三日目、俺は霧谷渓谷で蛇に噛まれた。  婚約者の朝倉奈緒と、彼女が長年面倒を見ている瀬川拓海。三人でキャンプに来ていた俺たちは、その日、山奥の滝を見に行く予定だった。  草の生い茂った遊歩道を歩いていると、右ふくらはぎに鋭い痛みが走った。足元から蛇が這い出し、茂みの奥へ消えていく。噛まれたあたりがみるみる腫れ、足首まで痺れ始めた。 「奈緒、マムシかもしれない! 救急車を呼んでくれ!」  奈緒が振り返ろうとした、そのときだった。少し離れた場所から拓海の悲鳴が上がった。 「奈緒さん! 今、蛇がこっちに来て……怖かった!」  奈緒は俺の横を通り過ぎ、拓海のもとへ駆け寄った。転んだ拍子に手のひらを擦りむいたらしく、拓海は情けない顔で傷を見せている。奈緒はその場にしゃがみ込み、救急ポーチを開けると、消毒用品とガーゼを取り出した。  俺は木の幹に手をついた。右脚の痺れが強くなり、立っているだけでもつらかった。 「奈緒、俺も噛まれたんだ。早く病院に行かないと」  彼女は一度だけ俺を見た。 「まだ立っていられるんでしょ? 先に拓海を連れて戻るね。直樹は体力あるんだから、少しなら大丈夫だよね?」  返事をする前に、奈緒は救急ポーチを肩に掛け、拓海を支えてキャンプ場のほうへ歩き始めた。  その背中を見ているうちに、高校時代のことが頭に浮かんだ。  バスケットボールで手首を骨折したとき、奈緒は泣きながら病院まで駆けつけてくれた。俺の包帯を巻いた腕を抱き締め、何があってもそばにいると言ってくれた。  二十年以上たった今も、あのときの顔は覚えている。  奈緒は、一度も振り返らなかった。  俺は遊歩道の脇に腰を下ろし、119番に電話した。途切れがちな電波の中で現在地と症状を伝え、指示されたとおり、なるべく右脚を動かさずに救助を待つ。  続いて、秘書の小野寺亮介に位置情報を送った。 「小野寺、霧谷渓谷で蛇に噛まれた。救急には連絡したから、搬送先の確認だけ手伝ってくれ」  通話を終え、もう一通メッセージを打った。 「それと、朝倉グループとの貸付契約を全部確認してほしい。婚約解消の手続きも進めてくれ」  送信してから、スマートフォンを膝の上に置いた。  奈緒と結婚する未来を、俺はずっと疑わずにいた。  だが、もう彼女を待つ理由はなかった。
  12. 35

    会社帰りに駅前ダンジョンを毎日一層だけ歩いていた俺、十年間の記録を探索者協会に見せたら「これ、誰も知らない異常周期が全部載ってます」と言われた /

    食品商社で働く、ごく普通の会社員・坂木晴彦。 特別な戦闘能力も、ダンジョンの専門知識もない。 そんな彼には、十年間続けている日課があった。 会社帰り、駅前ダンジョンの第一層を三十分から一時間だけ歩くこと。 そして、気になったことを手帳へ一行だけ書き残すことだ。 濡れていた床。 いつもと違う風の匂い。 見かけた小さな魔物。 通れなかった道。 本人にとっては、ただの散歩メモだった。 ところがある日、毎年同じ時期に起きる西回廊の異変について何気なく手帳を見せたことで、探索者協会の研究員が十年分の記録に目を留める。 「坂木さん……これ、この第一層で私たちが把握していなかった周期が、全部残ってます」 協会には、その日の状態を細かく測る最新の観測データがある。 だが、十年前の同じ場所をもう一度観測することはできない。 短くても、粗くても。 同じ場所を十年間見続けた記録は、誰も持っていなかった。 西回廊の異変。 魔物の移動。 季節ごとに変化する水路。 何気なく残してきた一行一行が、やがて誰かの安全を守るための資料へ変わっていく。 会社を辞めるわけでもない。 最強の探索者になるわけでもない。 これまで通り会社帰りにダンジョンを歩き、気になったことを書くだけ。 これは、何者でもないと思っていた普通の会社員が、 十年間続けてきた日常そのものに価値を見つけ、 やがて探索者協会から必要とされる「観測員」になっていく物語。
  13. 36

    親友の「謎の彼女」が姿を見せない理由――その正体は、俺の彼女だった/

    高瀬拓海には、どうしても誰にも会わせようとしない彼女がいた。  半信半疑だった俺に、「会ったことがある」と言ったのは、恋人の水野莉奈だった。 「本当にきれいな人だよ。悠人は会わないほうがいいかも。会ったあとで、やっぱり私よりあっちがいいとか言われたら嫌だし」  冗談交じりの嫉妬だと思って、それ以上は聞かなかった。  それからしばらくして、拓海がまたその彼女と喧嘩をしたらしく、居酒屋で潰れるまで酒を飲んだ。  莉奈は相手に連絡してみると言い、俺は拓海のそばに残った。少し前まで使っていたせいか、拓海のスマートフォンはまだ画面が点いたままだった。  LINEのトーク一覧を見ると、そのいちばん上にピン留めされていた相手の名前は『彼女』。  そのままLINE通話をかけた。  応答はなかったが、すぐに「今から行く」とメッセージが返ってきた。  どうしても顔が見てみたくなった俺は、テーブルに突っ伏し、そのまま寝たふりをした。  しばらくして、個室の扉が開いた。  入ってきたのは莉奈だった。  彼女は迷うことなく拓海のところへ行くと、屈み込んで頬に手を触れた。 「何でこんなに飲んだの?」  拓海は顔を上げ、そのまま莉奈の唇にキスをした。  それから、俺のほうをちらりと見る。 「先に悠人を帰そう。起きて見られたら面倒だし」  テーブルに伏せたまま、少しも動けなかった。  指先がすっと冷たくなる。  拓海がずっと隠していた彼女は、今、目の前で彼の隣に立っていた。
  14. 38

    私が一代で立ち上げた会社を、妻は自分の若いアシスタントのために使った/

    LUMINA株式会社の株価がストップ安をつけ、時価総額が一日で数百億円吹き飛んだ日、水野真由は秘書を社長室へ呼んだ。 「直人は? こんなことになってるのに、CTOがどうして来てないの?」  秘書の表情がわずかに強張った。手元の資料を確認してから、真由を見返す。 「高瀬副社長でしたら、六週間前に正式に退任されています。その後、技術本部からも何名か退職者が出ています。関連書類は……水野社長にもご確認いただいています」  真由は答えなかった。  六週間前は、LUMINAの創立十周年記念パーティーだった。  その夜、ASTERの技術チームへ贈られる予定だった一千万円の特別報奨金を、真由は発表直前になって新規事業企画室へ回した。その少し前、忘年会の抽選で欲しがっていたドローンを外した小川悠斗は、見るからに落ち込んでいた。  理由を尋ねた直人に、真由は平然と言った。 「会社はもう、技術だけで伸びる段階じゃないの。悠斗たちが見てるのは、新しい市場とこれからのユーザーよ」  そう言って、余っていたスクラッチくじを一枚、彼の前へ滑らせた。 「直人にもあるじゃない。最高二百万円よ。当たれば、こっちのほうが面白いかも」  真由は笑いながら悠斗のネクタイを直した。 「新規事業のほう、これから期待してるから」 「はい、水野社長。頑張ります」  悠斗は一度言葉を切り、声を落とした。 「ありがとうございます、真由さん」  近くにいた何人かがこちらを見たものの、何も言わずに目を逸らした。  直人はグラスをテーブルへ戻した。 「真由」  振り向いた彼女に告げる。 「離婚しよう」
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    無自覚なダンジョン修理屋、S級神器を90秒で直しただけなのに世界中でバズりました ~配信中に最強探索者の武器が折れまして~/

    無自覚なダンジョン修理屋は、最強探索者へ「三発目で折れます」と告げる。 予告は配信中、本当に的中。 メーカー最短40分のS級神器を90秒で直し、世界中でバズった。 全1話完結・約8,700字。 フィールド装備整備士・岸本直人の仕事は、探索者の武器を「安全に帰ってこられる状態」へ整えること。 ある日、公式攻略配信へ同行した直人は、S級探索者・新堂環の神器《天穿》に異常を見つける。 通常診断は【異常なし】。 それでも直人は断言した。 「新堂さん。その槍、三発目で折れます」 そして仲間を守るために放たれた三発目。 《天穿》は、直人が指した場所から本当に折れてしまう。 撤退路は崩落。 防衛結界の残り時間は、わずか90秒。 メーカーが「応急復旧でも最短40分」と告げる中、直人は工具箱を開いた。 「九十秒ください」 戦うのは最強探索者。 直人は剣を抜かない。 ただ、壊れたS級神器を直すだけ。 ――本人にとっては、それがいつもの仕事だった。 そして世界中が彼の話をしている夜、直人が気にしていたのは、妹の帰宅が二十三分遅れたことだった。 職人×現代ダンジョン×配信。 無自覚なフィールド整備士が世界中に見つかってしまう、職能無双短編。
  16. 20話分無料

    その子供、伝説の剣聖につき/

    ◆コミカライズ 第1巻 発売中 コミックグロウルにて連載中◆ アルフレッド・スチュアートはかつて起きた魔物の大侵攻で活躍し、剣聖と呼ばれた英雄である。 その功績で祖国の兵士長となったが、恩ある王が倒れ、次の王を巡った後継者争いに巻き込まれると、第二王子にいわれのない罪で投獄されそうになったので国を出て、逃亡した。 それから3年が経ち、名声だけはあるうえに祖国から狙われていることを重荷に感じつつ、無気力の放浪の旅をしていた。 そんな中、滞在中の宿屋でかつての仲間であり、英雄でもある大魔導士のシェリルと再会した。 シェリルは魔物に滅ばされた農村で一緒だった幼馴染であり、さらには共に日本からの転生者だったのでいつも一緒にいたパートナーだった。 そんなシェリルと再会し、酒を酌み交わしていると、シェリルに自分の店を手伝ってほしいと頼まれる。 昔から気の合うシェリルと一緒に暮らすのも悪くないかと思いつつ、酒も飲み、いい雰囲気となったアルフレッドは先にシャワーを浴びようと風呂場に向かった。 しかし、服を脱ぐ途中でポケットに何かがあると気付く。 それは昼間に倒したオーガのそばに落ちていた謎の指輪である。 酔っており、そういう話をしていた時だったので調子に乗ってその指輪をはめたのだが、 それは呪いの指輪であり、何故か子供の姿になってしまった。 呪いを解くためにシェリルと魔法都市に向かったアルフレッドは指輪の呪いを解く方法を探している間、シェリルの甥という設定でシェリルの店に住みだした。 そして、このままではヒモか扶養になってしまうと思ったアルフレッドは子供の姿のまま冒険者となり、稼ぐことにした。 子供の姿になった剣聖アルフレッド・スチュアートの新たなる英雄譚が始まった。 ※★がついている話は他者視点が含まれています。
    • 残酷描写有り
    • 暴力描写有り
    • 性描写有り
  17. 47

    A back of strike ~ 織田と武田、その滅亡の裏に ~/

    戦国時代、桶狭間の戦いを契機として、織田家と武田家は同盟を結んでいた。しかし、織田・武田両属の東濃(美濃東部)岩村城城主、遠山景任が病死したことにより、その同盟は破綻を迎えようとしていた。織田信長は速やかに景任の未亡人のおつやの方(信長の叔母)を城主とし、またわが子の御坊丸を送り込んで遠山家の後嗣とした。 これに反発した武田信玄は、上洛を唱えつつも遠江、三河を席巻した。世にいう西上作戦である。 武田家はこの西上作戦を契機に織田家と対立し、やがて滅びの道を歩む。 しかしこの西上作戦の原因となった、岩村城の城盗りにおいて、織田家のある重臣がかかわっていた……。 下記の拙作の後日譚で、脇役の物語です。 「輿乗(よじょう)の敵 ~ 新史 桶狭間 ~」 https://kakuyomu.jp/works/16817139554731804593 また、下記の拙作のエピソードゼロで、敵側視点の物語です。 「STRIKE BACK ! ~ 中国大返し、あるいは、この国を動かした十日間を、ねね(北政所)と共に~」 https://kakuyomu.jp/works/16817330659972775865
  18. 51

    「もう長くない」と夫に告げたのに、「冗談はやめろ」と言われた。彼は初恋の女の傷を手当てするのに必死だった/

    篠原真帆が日本を離れてから、私はようやく御堂恭平に想いを伝えた。  あの日の恭平は少し酔っていて、大学の部室棟の外にある手すりにもたれていた。夜風にシャツの裾を揺らす彼の前で、私は汗ばんだ手を握りしめていた。また断られるつもりでいた。  けれど、恭平はしばらく私を見たあと、ふっと笑った。 「若いんだし、ちょっとくらい勢いで付き合ってみてもいいだろ」  私はその言葉を、十年間ずっと覚えていた。  そして真帆が帰ってきた。  友人たちとの集まりで、真帆がゲームに負けた。罰ゲームは、その場にいる異性の誰かとキスをすることだった。誰かが面白がって、結婚したときは何があっても澄花を優先すると言っていなかったか、と恭平をからかった。  恭平は真帆の肩を抱き、私が久しく見ていなかった顔で笑った。 「若いときの勢いで言ったことを、いつまでも本気にするなよ」  電話越しにその声を聞いた瞬間、十年前の夜を思い出した。  あのとき私を救ってくれた言葉を、恭平自身が軽く手放していく。  私は携帯を握ったまま、何も言えなかった。  もう私も、本気にしなくていいのかもしれない。
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    家族総出で妹の新居を選んでますけど、結婚するのは私ですよね?/

    新居を選ぶ日、みんなが見ていたのは双子の妹、美緒だった。  不動産会社のテーブルには、新築マンションの資料が何冊も並んでいた。婚約者の佐伯怜司はその中から一冊を抜き取り、美緒のほうへ向ける。 「榊野駅のこの物件、どう? 会社から近いし、帰りが遅くなった日はそのまま泊まりに来られるだろ」  兄の拓真は別の間取り図を指さした。 「だったら花宮町のほうがいいんじゃない? 俺んちからも近いし。美緒が何か食べたいって言ったら、持っていけるしさ」  両親もすぐに賛成した。美緒が泊まる部屋を一つ空けておき、合鍵まで渡そうという話にまでなった。  ひと通り聞いてから口を挟んだ。 「でも、花宮町から冬木台の研究所まで、往復で二時間以上かかるよ」  一瞬だけ、テーブルが静かになった。  母が眉を寄せる。 「あなたの職場が郊外にあるだけでしょう。家を買うのに、通勤時間だけで決められないわよ。美緒は市内勤務なんだから、こっちのほうが便利じゃない」  子どもの頃、引っ越した先では兄にも美緒にも自分の部屋があった。私に与えられたのは、リビング横の納戸を改装した三畳ほどのスペースだった。  そのたびに言われた。 「千景はお姉ちゃんなんだから、少しくらい譲ってあげなさい」  二十年以上たって、今度は結婚することになった。  それでも、私がどの部屋を気に入ったのか、誰も聞かなかった。  子どもの頃にもらえなかった場所は、「新居」と名前を変えても、やっぱり私のものにはならないらしい。  だったら、もういらない。
  20. 書籍化作品2026年9月17日発売

    【コミック3巻9/17発売!】転生聖女は推し活初心者! ~聖女なのに邪悪の娘と蔑まれる公爵令嬢は推し活に励み過ぎて王子の溺愛に気づかない~【WEB版】/

    ビーンズ文庫様より、WEB版から大改稿のうえ、『転生聖女は推し活がしたい! 虐げられ令嬢ですが推しの王子様から溺愛されています!?』と改題のうえ発売中! 電子書籍特典では大ボリュームの特典SS「女子会と思いがけない来訪者」がついてまいります! ヤマモリニシロ先生によるとっても素敵なコミカライズも連載中です~!ヾ(*´∀`*)ノ コミック第2巻好評発売中ですっ!    ◇   ◇   ◇ 推し様の初舞台を観劇する直前で溺死してしまった女子高校生・絵理。 「もっと推し活がしたい……っ!」という未練を抱いたまま死んだ彼女は、次に気がついた時、アルスデウス王国の公爵令嬢・エリシア・サランレッドとして転生していた。 前世と同じ、黒髪・黒い瞳で生まれてきたエリシアは、聖女の力を持っているにもかかわらず、「邪悪の娘」として恐れられ、蔑まれながら成長する。 十五歳になったある日、王城へ赴いたエリシアが出逢ったのは、王太子であるレイシェルト。 レイシェルトを見た瞬間、エリシアの心に湧きあがったのは「この方を推したいっ!」という熱い想いだった……。 その日から二年。今日も今日とて推し活に励むエリシアが出逢った青年は――? 「今世こそ思う存分推し活がしたいっ!」とほとばしる想いのままに突き進む転生聖女(でも聖女であることは秘密)と、彼女にかまいたい王子様。 「レイシェルト様のファンサービスが手厚すぎますっ!」と感激するエリシアの明日はどっちだ!? 糖度とテンション高々のじれじれあまあま恋愛ファンタジー、開幕ですっ! ※なお、WEB版は本編の途中までの掲載となっておりますのでご了承ください。
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    【実録】台風による3日間の停電を生き抜いたサバイバル生存バトル〜もぐぴよ3Days War/

    👑【日間1位・週間1位・月間2位・年間79位獲得】 2026年9月21日、関東を襲った猛烈な台風。 しかし、悲劇の引き金は台風が来る遥か前に引かれていた――。 管理会社の怠慢による「換気扇故障」の放置から始まった、15日間お風呂に入れない最悪の伏線。 そして運命の台風最接近時間、お気楽にお肉をジュージュー焼いて「出来る女風」を装っていた。 早めの夕食に舌鼓を打っていた まさにその瞬間、世界は【バツンッ!】と音を立てて暗闇と静けさに飲み込まれた! 室温30度、湿度90%の無風サウナ地獄。 しかし本当の地獄は始まったばかり。 フッ軽で頼れる弟くんが泥だらけの車で持ってきてくれた、モバイルバッテリーと保冷剤。 目の前のお向かいの家がピカピカ電気が復旧されたにも関わらず、地区の「最後の20軒」に絶賛取り残されたもぐぴよ。 真夜中に10センチのシャッターの隙間から覗く怪しい影の正体とは!? そして、待ち受けていた冷蔵庫&クーラーボックスの悲しみとは――!? 旦那様不在のなか、たった一人で戦い抜き、最高温度の極上シャワーで完全大勝利(?)を収めるまでの、血と汗と涙のリアルタイム・サバイバルドキュメンタリー!
  22. 4話分無料

    最強使用人ディルは、手を抜きたい/

    転生者ディルは答えの出ない問いを抱えていた。 前世の記憶を持って異世界に生まれたとして、実際に知識を活用して成り上がったり最強になれるものだろうか? そもそも、最強になる必要があるのか? その人生は、誰かの見ている夢ではないのか? ディルには華々しい転生特典はなく、努力も大きく実ることはなく、知識を活かす機会に恵まれず、そもそも成り上がる情熱もなかった。 そこそこ平穏に暮らせたらいい。 そんな彼が選んだ職業は──『使用人』だった。 なぜなら、ディルの暮らす国では使用人の権利が守られており、ある意味で最強だったからだ。 その上、使用人はサボ……程よく手を抜き効率的に仕事をこなすことを推奨されており、ディルの性分に合っていた。 彼はラビリニ家という貴族の屋敷で三男であるロアンのお目付け役になり、使用人として暗躍しつつ生活を謳歌する。 彼の願いは、今も昔も変わらない。 ディルは、手を抜きたい。 しかし、順風満帆とはいかなかった。 坊ちゃんの恋路に巻き込まれ、迷宮の異変に頭を悩ませ、先輩使用人に翻弄される。 果たして、ディルは答えを見つけられるのか? 果たして、ディルは手を抜けるのか? 今、怒涛の日々が始まろうとしている。
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    『貯金ばかりする男はつまらない』と彼女に捨てられた俺、経理部の年上美女から『その金銭感覚、結婚相手として理想なんだけど』と本気で狙われている/

    「たまの贅沢も出し渋るようなケチな男と、結婚なんて考えられない」 将来のための貯金や固定費の節約を「夢がない」と馬鹿にされ、浪費家の彼女・美咲に捨てられた青木和樹。 自分は本当につまらない男なのだろうか――失意の底に沈む和樹を救ったのは、社内きっての厳格な美女として知られる経理部主任の一条麗華だった。 和樹が提出した無駄のない経費書類と、自作の生活設計シートを目にした麗華は、驚愕ののちに確信を込めて告げる。 「これ、ケチじゃないわ。生活の天才よ。……ねえ、その金銭感覚、結婚相手として理想なんだけど」 一方、自由にお金を使えると喜んでいた元カノは、リボ払いの罠とアパート更新料に追われ、和樹が作っていた「見えない防波堤」の巨大さに気づいて泣きつくが――すべては手遅れだった。 地味な節約能力が「生涯を安心して預けられる最高の長所」へと反転する、大人の痛快&溺愛ストーリー。
  24. 69

    『妻の不倫を知った俺は、何も知らないふりをして証拠を集めることにした』/

    妻・美咲との結婚生活は、何の問題もなく続いている――和也はそう信じていた。 しかしある日、妻が職場の上司・佐々木修平と不倫している決定的な証拠を掴んでしまう。 しかも娘の葵も、母親の不倫に気づいていた。 家族を壊したくなくて黙っていた娘の想いを知った和也は、怒りを胸に秘め、何も知らないふりをして証拠を集め始める。 そして迎えた離婚の話し合い。 そこで葵は、自分も母親の裏切りを知っていたことを父に告げる。 「私は、お父さんと一緒に暮らしたい」 最愛の娘に選ばれた和也は、妻との離婚を決意。 不倫相手との未来を夢見ていた美咲と修平は、家族、信頼、そして周囲からの信用を失っていく。 一方、和也は葵と二人で新しい生活を始め、壊れかけていた親子の絆を取り戻していく。 そして数年後――。 大学生になった葵は、父に再婚してほしいと願うようになる。 だが、妻に裏切られた和也は女性を完全には信じられず、恋愛そのものに臆病になっていた。 そんな父を心配した葵は、再婚相手の候補となる一人の女性・紗季を紹介する。 三人で食事をする中、和也は自分が経験した裏切りと、女性を信じることへの恐怖を正直に打ち明ける。 すると紗季は、無理に信じてほしいとは言わず――。 「一緒に、ゆっくり克服していきませんか?」 その言葉に救われた和也は、もう一度誰かを愛することを決意する。 やがて二人は交際を始め、葵が大学を卒業した後、ささやかな結婚式を挙げる。 さらに葵自身も大学で大切な人と出会っていた。 一度は裏切りによって壊れた家族。 それでも人生は、そこでは終わらない。 娘との絆、新しい恋、そして新しい家族。 これは、裏切りから始まり、もう一度幸せを見つけていく父と娘の物語。
  25. 73

    従兄が家族LINEで「国民的女優と交際中」と自慢したので、「正月に連れてきて」と父のスマホから頼んでおいた。当日、本物の彼女は従兄に「あなた、誰?」と言って、俺の腕に飛び込んできた/

    年の瀬、家族LINEの「鷺沢家」に、従兄の崇史が写真を一枚貼った。 『紹介します。彼女の乙部瑠衣です』 国民的女優との交際宣言。祖父は『さすが俺の孫だ』とすぐに返す。 その写真を、俺はホテルの部屋で見ていた。 腰に回る細い腕。枕から半分だけ覗く、画面と同じ顔。 「今年の正月は、ご両親に会わせてくれないの?」 実家での俺は、「150万円ってとこか」と値踏みされる国産コンパクトに乗った「底辺のサラリーマン」。900万円のドイツ車で帰ってきた崇史を前に、祖父は「出来がいいのは、うちの家系で一人だけだな」と言い、責められた父は黙って頷く。 『生活写真は、ないの?』 一行打っただけで、グループから退会させられた。 だから、父のスマホを借りる。 『崇史、正月2日の新年会に、彼女さんを連れてきてくれ』 既読は50。返ってきたのは、崇史の一行だった。 『連れてくるよ。恥をかくのは誰かな』
  26. 79

    10年かけて貯めたお金で買ったタワマンが、夫と不倫相手の家になっていた/

    結婚五周年の日だった。  仕事が予定より早く終わり、三千万円の住宅ローンをようやく完済したばかりのタワーマンションへ戻ると、リビングのソファに一本の髪が落ちていた。  赤みがかった茶色の長い髪だった。私の髪は黒く、長さも肩までしかない。  嫌な予感がしてウォークインクローゼットを確認すると、見過ごせない痕跡が次々に見つかった。Diorのコートの襟には見覚えのない口紅がつき、Tiffanyのブレスレットが一本なくなっている。ほとんど履いていないLouboutinのヒールにも、はっきりと使用跡が残っていた。  写真を撮り、「重要な会議中」のはずの夫――圭介へ送った。 『家に誰か入ったみたい。警察に相談する』  それから十分もしないうちに、玄関が勢いよく開いた。  圭介は息を切らしていた。 「今日、なんでこんなに早く帰ってきたの?」  第一声がそれだった。  答えるより先に、玄関から顔認証ロックの電子音が響いた。  赤茶色の長い髪をした女が、両手いっぱいにショップバッグを提げて入ってくる。  足元にあるのは、私のLouboutinだった。 「圭介さん、ちょっと持って。もう手が痛いんだけど」  そこまで言って、女はようやく私に気づいた。  一瞬だけ目を見開き、すぐに不満そうな顔で圭介を見る。 「……なんでまだいるの?」  壁の時計を見て、さらに眉を寄せた。 「もう八時過ぎてるよ。八時からは私と過ごすって言ってたよね? ローンを払い終わったら、ちゃんと話すって言ってたじゃない」  女と圭介を交互に見た。  四年以上、毎月ローン残高を確認しながら働いてきた。少しでも早く、この家の借金をなくしたかったからだ。  けれど、ここで日常を過ごしていたのは、どうやら私ではなかったらしい。
  27. 80

    姉貴の親友で二歳年上の美少女幼馴染に告白したら振られた。でも最強のアマゾネスは俺を他の女に渡す気がないらしい/

    「いい男になったら付き合ってやる」――振られたはずなのに、なぜか俺は予約済みらしい。 姉貴の親友で、二歳年上の幼馴染・浜口千佳(はまぐちちか)。 俺――浅香奏斗(あさかかなと)は、ずっと好きだった千佳に中学卒業の日、勇気を振り絞って告白した。 返ってきた答えは―― 「アンタ、まだ、いい男に育っていないから」 まさかの玉砕。 それなのに千佳は、俺をからかい、家に入り浸り、挙げ句の果てには―― 「良いか。他のヤツに触らせるではないぞ!」 ……いや、俺を振ったのお前だよな? 最強アマゾネスな年上幼馴染と、彼女に認められる「いい男」を目指す年下男子の、振られたところから始まる幼馴染ラブコメ。 この作品は下記のラブコメ作品から生まれた物語です。 よければこちらもお読みくだされば幸いです。 『 学校一の高嶺の花は俺が嫌いだった。でも、その正体は毎晩俺に恋愛相談してくるネトゲの相棒だった 』 https://kakuyomu.jp/works/2912051605540071578
  28. 84

    結婚式で彼氏はみんなの前で私が「野種」を宿したと罵った。でもあの妊娠検査票は妹のものだった/

     桐生蓮司と付き合って、八年になる。  そのうち三年を費やして、私は彼のために一本の舞台脚本を書いた。『月影茶屋』というその作品は、汐ヶ浦市の百席にも満たない小劇場で燻っていた蓮司を、テレビドラマや映画の世界へ連れ出した。  いつか彼が俳優として賞を取り、その隣に私がいる。  そんな未来を、疑ったことはなかった。  けれど、花とカメラに囲まれた蓮司の隣に立っていたのは、私ではなく妹の藤崎美羽だった。  披露宴では、私のことを面白半分に囁く声があちこちから聞こえた。蓮司は一度も止めなかった。それどころか、私が身に覚えのない妊娠をした女だと、自分の口で話した。  きっかけは四か月前だった。  地方での仕事を終えて帰ってきた蓮司が、鍵をかけていた私の引き出しから一枚の産婦人科の検査結果を見つけた。  名前は、藤崎千景。  妊娠反応は陽性。  あの紙が、全部の始まりだった。  八年の恋も、美羽も、紗和の死も、そのあと私に起きたことも、気づかないうちに一つの場所へ追い込まれていった。  ただ、蓮司まであそこまで壊れることになるなんて、その頃の私はまだ知らなかった。
  29. 93

    夫は私が予約した産前産後ケアの個室を愛人に譲り、臨月の私には六人部屋へ行けと言った/

    出産予定日の一週間前、私は一人でキャリーケースを引き、半年前から予約していた凪ヶ丘メディカルケア・レジデンスを訪れた。  産前産後のケアを受けながら滞在できる施設で、私が予約していたのはマタニティ向けのプレミアムヴィラだった。ところが受付の女性は、端末を何度も確認したあと、ひどく言いづらそうな顔でこちらを見た。 「黒川様、大変申し訳ございません。ご予約いただいていたヴィラですが、昨日、ご変更の連絡が入っております」  思わず聞き返した。 「変更、ですか?」 「はい。ご主人から『ご本人も了承済み』とうかがいまして、現在は旧館の六人用相部屋を確保しております。ただ、そちらは出産直前の方には通常ご案内していないお部屋ですので、念のためご本人にも確認をと思いまして……」  一瞬、何を言われているのか分からなかった。  六人部屋?  私が了承したことになっている?  牧人に電話をかけようとスマートフォンを取り出したところで、家族のグループLINEに通知が入った。  最初に書き込んだのは牧人だった。 『まさか本当に行くとは思わなかった』  笑顔のスタンプまで添えられていた。  すぐに白石雪乃が返す。 『綾乃さんなら平気でしょ。あのヴィラ、しばらく療養に借りるね』  画面を数秒見つめ、そのまま宿泊をキャンセルした。  そしてスマートフォンで、南にある凪浦町の産科予約を確認する。  星ヶ崎からはかなり遠い。  ちょうどいい。  今度こそ、ここには残らない。