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総合の短編ランキング

2万文字未満かつ完結済の作品を直近30日間のデータで集計しています。
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    【勘違い】世界最強の氷の悪役令嬢が闇堕ちしそうなので、下級貴族の俺が【姉直伝の王子様スキル】で溺愛したら、既に光堕ちして好感度がカンストしていた件/

    ここは伝説の乙女ゲーム『Sweet Heart』の世界。 今後のシナリオで、世界を破滅させる作中最強の悪役令嬢、レナ・シンシア・ルーズヴェルト。 彼女の闇落ちを防ぐため、後に捨て駒にされる下級のモブ貴族に転生したユウは、前世で四人の姉たちに叩き込まれた『理想の王子様スキル』で彼女を光堕ちさせようと奮闘していた。 だがしかし――、 「……余計なお世話よ」 冷たい言葉を残して去っていくレナを見て「また失敗した」と落ち込むユウ。 けれど彼は知らない。 (無理。尊すぎて死ぬ。ユウ好き好き好きすきすきすきしゅきしゅきしゅき……っ!!) 実は彼女は幼少期から優しくしてくれたユウに骨抜きにされ、既に好感度はカンスト状態の光堕ち済みだったのだ。 必死にレナを光堕ちさせようと奮闘するユウと、無表情の裏で悶絶している光堕ち済みのレナ。 すれ違いだらけの勘違い異世界ラブコメが今幕を開ける――。 ※作品の無断転載・翻訳・配布等は、一切許可しておりません。 ※需要がありそうであればカクヨムコンに向けて長編化も検討します。 ※続きが気になる方は作品フォロー・星評価で教えていただけると嬉しいです。
  4. 書籍化作品2026年9月25日発売

    【9/25書籍発売】妖精の棲む図書館の館長になりました ~第二の人生はのんびり生きたいので面倒事はお断りします~/

    9/25 MFブックス様より書籍発売しました! (旧題「異世界図書館の館長としてのんびり生きてみます」)  【MFブックス異世界小説コンテスト長編部門 特別賞受賞】 佐倉杏、享年七十八歳。現世で人生をまっとうして疲れ切っていた杏に、女神フレイアが自分の創った世界に転生して欲しいと懇願する。最初は固辞していた杏だが、のんびりと暮らせるならと異世界で図書館の館長になることを引き受けた。 異世界で二十歳の身体になったアンは、この世界のナビゲーターに相談しながら、様々な問題を図書館館長のスキルを使って解決していく。 妖精、貴族、騎士団、対立する宗教団体と、否応なしに周囲の人々と関わることになるアン。だが「今世のモットーはのんびり生きていくこと」と、面倒を避け、昼寝の時間を死守しようとする。 現世で疲れ切った老女が、のんびり生きるといいながらも、ついつい真面目にがんばってしまう物語です。 設定はユルユルなので許せる方向け ※2026.3 アンの年齢を16歳から20歳に、レオンを16歳から12歳に変更しました。 主な登場人物(参考程度に) アン(佐倉杏)黒髪、黒目 小柄 女神フレイア 異世界マドモ・アーゼルを作った神 金髪の美女 ダイアナ・ミュラー 子爵家四女 背が高く、茶髪ロング ブルーグレーの目 黒曜騎士団 アルベール・バルセロナ卿 黒髪、藍色の目(副団長) セルジュ フレイア教の熱心な信者となる エリック・オルレアン 茶髪、青い目(新人騎士) 図書館の利用者 キャサリン・プアリエ 白髪まじりの茶髪、琥珀色の目 リュカ はしばみ色の目の少年 カフェ ハリー くせのある赤毛でスラっとした体形 レオン 緑色の目をした茶髪の少年 シリル神官 金髪碧眼の王子様系美青年 フレイア様の像 父 ジャン 茶髪、黄色っぽい目 メガネ 息子 シャルル 茶髪 黄色っぽい目
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    家を売り全財産を注ぎ込んで妻の起業を支えたのに、彼女は初恋の男のために俺の目を奪った/

     結婚記念日の朝、美沙から急に連絡が入った。投資家との打ち合わせが入ったから残業になる、予約していた映画には行けないという。  一人で街を歩き回ったものの、誰もいない家へ早く帰る気にはなれなかった。水鷺駅近くの劇場街を通りかかったとき、小さな劇場でお笑いライブの当日券が残っているのを見つけ、なんとなく一枚買った。  ライブの途中、ステージ上の芸人が客席とのやり取りを始めた。 「今日、恋人や旦那さんに内緒で来てる人います? 正直に手を挙げてくれたら、限定グッズ差し上げますよ」  最前列から、すぐに手が上がった。 「はい」  聞き間違えるはずのない声だった。顔を上げると、そこにいたのは妻の榎本美沙だった。  その隣には、知らない男が座っていた。背が高く、左の頬に薄い傷跡がある。美沙は笑いながら、スタッフから渡されたマイクを受け取った。 「今日は結婚記念日なんです。だから、本当に会いたい人と過ごしたくて」  客席から一斉に歓声が上がった。  芸人も一瞬だけ言葉に詰まったものの、すぐに隣の男へ視線を向けた。 「でも奥さん、その人が旦那さんじゃないって、どうやって証明するんです? かなりお似合いですけど」  あちこちから笑い声が響く。  後方の席から立ち上がった。椅子の脚が床を擦り、耳障りな音を立てる。近くの客が振り返り、何台ものスマートフォンがこちらへ向いた。 「証明できます」  俺を見た瞬間、美沙の顔から血の気が引いた。それでも自分では驚くほど、声は落ち着いていた。 「俺が夫ですから」  劇場の笑い声が止まった。 「この三年間の結婚記念日、美沙は一度も、本当に会いたい相手とは過ごしてなかったみたいですね」
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    親友の「謎の彼女」が姿を見せない理由――その正体は、俺の彼女だった/

    高瀬拓海には、どうしても誰にも会わせようとしない彼女がいた。  半信半疑だった俺に、「会ったことがある」と言ったのは、恋人の水野莉奈だった。 「本当にきれいな人だよ。悠人は会わないほうがいいかも。会ったあとで、やっぱり私よりあっちがいいとか言われたら嫌だし」  冗談交じりの嫉妬だと思って、それ以上は聞かなかった。  それからしばらくして、拓海がまたその彼女と喧嘩をしたらしく、居酒屋で潰れるまで酒を飲んだ。  莉奈は相手に連絡してみると言い、俺は拓海のそばに残った。少し前まで使っていたせいか、拓海のスマートフォンはまだ画面が点いたままだった。  LINEのトーク一覧を見ると、そのいちばん上にピン留めされていた相手の名前は『彼女』。  そのままLINE通話をかけた。  応答はなかったが、すぐに「今から行く」とメッセージが返ってきた。  どうしても顔が見てみたくなった俺は、テーブルに突っ伏し、そのまま寝たふりをした。  しばらくして、個室の扉が開いた。  入ってきたのは莉奈だった。  彼女は迷うことなく拓海のところへ行くと、屈み込んで頬に手を触れた。 「何でこんなに飲んだの?」  拓海は顔を上げ、そのまま莉奈の唇にキスをした。  それから、俺のほうをちらりと見る。 「先に悠人を帰そう。起きて見られたら面倒だし」  テーブルに伏せたまま、少しも動けなかった。  指先がすっと冷たくなる。  拓海がずっと隠していた彼女は、今、目の前で彼の隣に立っていた。
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    防犯カメラを確認した夜、妻は不倫相手を寝室に連れ込んでいた/

    出張を終え、一週間ぶりに澪浜市の自宅へ戻った。  ゴミを捨てようとしたとき、ゴミ箱の中にホテルのロゴが入った使い捨て歯ブラシが見えた。  これで三か月連続だった。  先月はホテルのボディタオルの包装。その前の月には、アメニティの袋が捨てられていた。どれも決まって、俺が出張で家を空けている間に出てくる。  そこへ妻の真帆が廊下から現れた。  着ているのは、明らかに俺のものではない男物の白いシャツだった。 「修司、おかえり。疲れた?」  笑顔で近づいてきた真帆が、いつものように腕を伸ばす。  俺は半歩ずれて、その腕を避けた。 「俺がいない間、誰か来た?」 「どうしたの、急に。この一週間、ずっと一人だったよ」  数秒だけ真帆の顔を見たあと、俺は何も言わず寝室へ向かった。  部屋には、ごく薄い煙草の匂いが残っていた。  俺は何年も前に煙草をやめている。  スマホを取り出し、防犯カメラのアプリを開いた。  出張初日の夜。  見知らぬ男が俺の部屋着を着て、リビングのソファに座っていた。  その膝の上には真帆が座っている。  次の瞬間、二人はキスをした。
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  9. 書籍化作品2026年10月1日発売

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    会社帰りに駅前ダンジョンを毎日一層だけ歩いていた俺、十年間の記録を探索者協会に見せたら「これ、誰も知らない異常周期が全部載ってます」と言われた /

    食品商社で働く、ごく普通の会社員・坂木晴彦。 特別な戦闘能力も、ダンジョンの専門知識もない。 そんな彼には、十年間続けている日課があった。 会社帰り、駅前ダンジョンの第一層を三十分から一時間だけ歩くこと。 そして、気になったことを手帳へ一行だけ書き残すことだ。 濡れていた床。 いつもと違う風の匂い。 見かけた小さな魔物。 通れなかった道。 本人にとっては、ただの散歩メモだった。 ところがある日、毎年同じ時期に起きる西回廊の異変について何気なく手帳を見せたことで、探索者協会の研究員が十年分の記録に目を留める。 「坂木さん……これ、この第一層で私たちが把握していなかった周期が、全部残ってます」 協会には、その日の状態を細かく測る最新の観測データがある。 だが、十年前の同じ場所をもう一度観測することはできない。 短くても、粗くても。 同じ場所を十年間見続けた記録は、誰も持っていなかった。 西回廊の異変。 魔物の移動。 季節ごとに変化する水路。 何気なく残してきた一行一行が、やがて誰かの安全を守るための資料へ変わっていく。 会社を辞めるわけでもない。 最強の探索者になるわけでもない。 これまで通り会社帰りにダンジョンを歩き、気になったことを書くだけ。 これは、何者でもないと思っていた普通の会社員が、 十年間続けてきた日常そのものに価値を見つけ、 やがて探索者協会から必要とされる「観測員」になっていく物語。
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    釣り仲間が「踊れる人魚を釣った」と自慢してきた。写真を見たら、まさかの俺の妻だった/

    既婚者ばかりの釣り仲間数人と居酒屋に集まった夜、話題はいつものように釣果の自慢になった。  森田は前日に釣り上げた八十センチを超えるコイの写真を、もう何度もグループLINEに載せていた。一方、黒田敦也はここ最近ずっとボウズ続きだった。格好の標的を見つけた連中が、代わる代わる黒田をからかっていた。  ビールを三杯ほど空け、顔を赤くした黒田は、とうとうグラスをテーブルに置いた。 「魚は相変わらず釣れないけどさ、女なら最近一人釣ったぞ。ホテルまで来るようなやつ」  一瞬だけ個室が静まり、その直後、笑い声が弾けた。  森田は腹を抱え、膝からスマートフォンを落としてもすぐには拾わなかった。 「今日の酒、そんな強くないだろ。三杯で何言い出してんだよ」  別の男も笑いながら黒田の肩を叩いた。 「ボウズ続きで、とうとう魚じゃなくて女を釣った夢まで見るようになったか?」  黒田の顔から笑いが消えた。 「うるせえな。写真あるから見ろよ」  スマートフォンを取り出し、勢いよく写真フォルダを開く。 「嘘かどうか、自分で確かめろ」  さっきまで笑っていた連中が次々に身を乗り出した。  森田も落としたスマートフォンを拾うのを忘れたまま、黒田の画面を覗き込んでいた。 「おい……マジかよ」 「黒田、お前これどこで知り合ったんだ?」  俺は家にいる妻を思い出し、そちらを見ないようにしていた。  隣に座っていた高木浩介が俺の首に腕を回した。 「航平も見ろよ。黒田、今回は吹いてるだけじゃなさそうだぞ」 「俺はいいって」 「いいから一回見ろよ」  肩を引かれ、光る画面が視界に入った。  次の瞬間、グラスに添えていた指が止まった。  写真の女は、身体にフィットしたヨガウェア姿でカメラに向かって笑っていた。薄く加工された画面の中でも、左の眉尻には細い三日月形の傷痕が残っていた。  毎日見てきた傷だった。  写っていたのは、俺の妻――相沢静香だった。
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    私が一代で立ち上げた会社を、妻は自分の若いアシスタントのために使った/

    LUMINA株式会社の株価がストップ安をつけ、時価総額が一日で数百億円吹き飛んだ日、水野真由は秘書を社長室へ呼んだ。 「直人は? こんなことになってるのに、CTOがどうして来てないの?」  秘書の表情がわずかに強張った。手元の資料を確認してから、真由を見返す。 「高瀬副社長でしたら、六週間前に正式に退任されています。その後、技術本部からも何名か退職者が出ています。関連書類は……水野社長にもご確認いただいています」  真由は答えなかった。  六週間前は、LUMINAの創立十周年記念パーティーだった。  その夜、ASTERの技術チームへ贈られる予定だった一千万円の特別報奨金を、真由は発表直前になって新規事業企画室へ回した。その少し前、忘年会の抽選で欲しがっていたドローンを外した小川悠斗は、見るからに落ち込んでいた。  理由を尋ねた直人に、真由は平然と言った。 「会社はもう、技術だけで伸びる段階じゃないの。悠斗たちが見てるのは、新しい市場とこれからのユーザーよ」  そう言って、余っていたスクラッチくじを一枚、彼の前へ滑らせた。 「直人にもあるじゃない。最高二百万円よ。当たれば、こっちのほうが面白いかも」  真由は笑いながら悠斗のネクタイを直した。 「新規事業のほう、これから期待してるから」 「はい、水野社長。頑張ります」  悠斗は一度言葉を切り、声を落とした。 「ありがとうございます、真由さん」  近くにいた何人かがこちらを見たものの、何も言わずに目を逸らした。  直人はグラスをテーブルへ戻した。 「真由」  振り向いた彼女に告げる。 「離婚しよう」
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    無自覚なダンジョン修理屋、S級神器を90秒で直しただけなのに世界中でバズりました ~配信中に最強探索者の武器が折れまして~/

    無自覚なダンジョン修理屋は、最強探索者へ「三発目で折れます」と告げる。 予告は配信中、本当に的中。 メーカー最短40分のS級神器を90秒で直し、世界中でバズった。 全1話完結・約8,700字。 フィールド装備整備士・岸本直人の仕事は、探索者の武器を「安全に帰ってこられる状態」へ整えること。 ある日、公式攻略配信へ同行した直人は、S級探索者・新堂環の神器《天穿》に異常を見つける。 通常診断は【異常なし】。 それでも直人は断言した。 「新堂さん。その槍、三発目で折れます」 そして仲間を守るために放たれた三発目。 《天穿》は、直人が指した場所から本当に折れてしまう。 撤退路は崩落。 防衛結界の残り時間は、わずか90秒。 メーカーが「応急復旧でも最短40分」と告げる中、直人は工具箱を開いた。 「九十秒ください」 戦うのは最強探索者。 直人は剣を抜かない。 ただ、壊れたS級神器を直すだけ。 ――本人にとっては、それがいつもの仕事だった。 そして世界中が彼の話をしている夜、直人が気にしていたのは、妹の帰宅が二十三分遅れたことだった。 職人×現代ダンジョン×配信。 無自覚なフィールド整備士が世界中に見つかってしまう、職能無双短編。
  14. 書籍化作品2026年9月17日発売

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    A back of strike ~ 織田と武田、その滅亡の裏に ~/

    戦国時代、桶狭間の戦いを契機として、織田家と武田家は同盟を結んでいた。しかし、織田・武田両属の東濃(美濃東部)岩村城城主、遠山景任が病死したことにより、その同盟は破綻を迎えようとしていた。織田信長は速やかに景任の未亡人のおつやの方(信長の叔母)を城主とし、またわが子の御坊丸を送り込んで遠山家の後嗣とした。 これに反発した武田信玄は、上洛を唱えつつも遠江、三河を席巻した。世にいう西上作戦である。 武田家はこの西上作戦を契機に織田家と対立し、やがて滅びの道を歩む。 しかしこの西上作戦の原因となった、岩村城の城盗りにおいて、織田家のある重臣がかかわっていた……。 下記の拙作の後日譚で、脇役の物語です。 「輿乗(よじょう)の敵 ~ 新史 桶狭間 ~」 https://kakuyomu.jp/works/16817139554731804593 また、下記の拙作のエピソードゼロで、敵側視点の物語です。 「STRIKE BACK ! ~ 中国大返し、あるいは、この国を動かした十日間を、ねね(北政所)と共に~」 https://kakuyomu.jp/works/16817330659972775865
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    「もう長くない」と夫に告げたのに、「冗談はやめろ」と言われた。彼は初恋の女の傷を手当てするのに必死だった/

    篠原真帆が日本を離れてから、私はようやく御堂恭平に想いを伝えた。  あの日の恭平は少し酔っていて、大学の部室棟の外にある手すりにもたれていた。夜風にシャツの裾を揺らす彼の前で、私は汗ばんだ手を握りしめていた。また断られるつもりでいた。  けれど、恭平はしばらく私を見たあと、ふっと笑った。 「若いんだし、ちょっとくらい勢いで付き合ってみてもいいだろ」  私はその言葉を、十年間ずっと覚えていた。  そして真帆が帰ってきた。  友人たちとの集まりで、真帆がゲームに負けた。罰ゲームは、その場にいる異性の誰かとキスをすることだった。誰かが面白がって、結婚したときは何があっても澄花を優先すると言っていなかったか、と恭平をからかった。  恭平は真帆の肩を抱き、私が久しく見ていなかった顔で笑った。 「若いときの勢いで言ったことを、いつまでも本気にするなよ」  電話越しにその声を聞いた瞬間、十年前の夜を思い出した。  あのとき私を救ってくれた言葉を、恭平自身が軽く手放していく。  私は携帯を握ったまま、何も言えなかった。  もう私も、本気にしなくていいのかもしれない。
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    家族総出で妹の新居を選んでますけど、結婚するのは私ですよね?/

    新居を選ぶ日、みんなが見ていたのは双子の妹、美緒だった。  不動産会社のテーブルには、新築マンションの資料が何冊も並んでいた。婚約者の佐伯怜司はその中から一冊を抜き取り、美緒のほうへ向ける。 「榊野駅のこの物件、どう? 会社から近いし、帰りが遅くなった日はそのまま泊まりに来られるだろ」  兄の拓真は別の間取り図を指さした。 「だったら花宮町のほうがいいんじゃない? 俺んちからも近いし。美緒が何か食べたいって言ったら、持っていけるしさ」  両親もすぐに賛成した。美緒が泊まる部屋を一つ空けておき、合鍵まで渡そうという話にまでなった。  ひと通り聞いてから口を挟んだ。 「でも、花宮町から冬木台の研究所まで、往復で二時間以上かかるよ」  一瞬だけ、テーブルが静かになった。  母が眉を寄せる。 「あなたの職場が郊外にあるだけでしょう。家を買うのに、通勤時間だけで決められないわよ。美緒は市内勤務なんだから、こっちのほうが便利じゃない」  子どもの頃、引っ越した先では兄にも美緒にも自分の部屋があった。私に与えられたのは、リビング横の納戸を改装した三畳ほどのスペースだった。  そのたびに言われた。 「千景はお姉ちゃんなんだから、少しくらい譲ってあげなさい」  二十年以上たって、今度は結婚することになった。  それでも、私がどの部屋を気に入ったのか、誰も聞かなかった。  子どもの頃にもらえなかった場所は、「新居」と名前を変えても、やっぱり私のものにはならないらしい。  だったら、もういらない。
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    婚約者が「真実の愛」グループで浮気を実況していたので、その場で花嫁を替えました/

     結婚式まで、あと七日。  婚約者の藤森彩香の初恋相手、早川亮介が出所した。  彩香とは五年間付き合い、この日のために二人で準備を重ねてきた。  亮介が戻ってきたと知った時、もしまだ気持ちが残っているなら、今のうちに別れてもいいと俺の方から切り出したくらいだ。  結婚してから三人とも不幸になるより、その方がずっとましだと思っていた。  けれど、彩香の父親はわざわざ俺のところまで来て、 「あの子はもう過去を引きずっていない」 と言った。  たった一人の妹、久我莉子も泣きながら腕にしがみついてきた。 「彩香さん、お兄ちゃんが一番苦しかった時もずっとそばにいてくれたじゃん」  親友の三浦拓也まで胸を張った。 「五年一緒にいたんだぞ。今さら昔の男が出てきたくらいで、何が変わるんだよ」  その言葉を信じた。  結婚式当日までは。  ホテルへ向かう途中、拓也が煙草を吸うために車を降りた。  直前まで触っていたサブ端末を助手席に置きっぱなしにしている。  画面もロックされていなかった。  そこへLINEの通知が入った。  グループ名は、 【彩香&亮介 復縁作戦】  次々と写真や動画が投稿されていた。  月ノ森迎賓館。  ウェディングドレス姿の彩香。  その向かいには、五年前に服役した亮介がいる。  二人は指輪を交換し、抱き合い、最後には唇を重ねた。  その周りで拍手しているのは、莉子、拓也、彩香の父親。  そして本来なら今日、俺の結婚式に来るはずだった友人たちだった。  少しして、彩香からメッセージが届いた。 【今日くらいは、亮介との約束を守りたいの】  続けて、もう一件。 【でも明日は予定通り颯人と凪原市役所に行く。株の契約もあるから、それまでは絶対にバレないようにして】  最後まで読んでも、誰にも問いたださなかった。  ただ画面を消し、端末を元の場所へ戻した。  あれだけ楽しそうに芝居をしているのだ。  最後まで付き合ってやろうと思った。
  19. 20話分無料

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    【実録】台風による3日間の停電を生き抜いたサバイバル生存バトル〜もぐぴよ3Days War/

    👑【日間1位・週間1位・月間2位・年間80位獲得】 2026年9月21日、関東を襲った猛烈な台風。 しかし、悲劇の引き金は台風が来る遥か前に引かれていた――。 管理会社の怠慢による「換気扇故障」の放置から始まった、15日間お風呂に入れない最悪の伏線。 そして運命の台風最接近時間、お気楽にお肉をジュージュー焼いて「出来る女風」を装っていた。 早めの夕食に舌鼓を打っていた まさにその瞬間、世界は【バツンッ!】と音を立てて暗闇と静けさに飲み込まれた! 室温30度、湿度90%の無風サウナ地獄。 しかし本当の地獄は始まったばかり。 フッ軽で頼れる弟くんが泥だらけの車で持ってきてくれた、モバイルバッテリーと保冷剤。 目の前のお向かいの家がピカピカ電気が復旧されたにも関わらず、地区の「最後の20軒」に絶賛取り残されたもぐぴよ。 真夜中に10センチのシャッターの隙間から覗く怪しい影の正体とは!? そして、待ち受けていた冷蔵庫&クーラーボックスの悲しみとは――!? 旦那様不在のなか、たった一人で戦い抜き、最高温度の極上シャワーで完全大勝利(?)を収めるまでの、血と汗と涙のリアルタイム・サバイバルドキュメンタリー!
  21. 65

    クラリス・ヴァルディエは揺るがない ~王太子妃候補をやめたので、Fランク冒険者から始めます~/

    王立学院の卒業祝賀会。 侯爵令嬢クラリス・ヴァルディエは、長年婚約していた王太子から突然、婚約解消を告げられた。 王太子妃になるために幼い頃から学び続けてきたクラリスには、婚約がなくなった途端、「明日、自分が何をすればいいのか」が分からなくなる。 父はすぐに次の縁談を用意してくれた。 けれどクラリスは、初めてそれを拒んだ。 「次は、私が決めます」 一年間の猶予をもらい、家を出たクラリスが選んだのは、まさかの冒険者。 王太子妃教育を修了していても、冒険者としてはLv1、Fランク。 剣を握ったこともなければ、野宿の経験もない。 そんな彼女が母の遺したスキルブックから得たのは、ユニークスキル《習得》 初めて選んだ仕事は、薬草を十束採るだけの簡単な依頼――のはずだった。 ところが帰り道、一匹のゴブリンが立ちはだかる。 これは、何も知らない侯爵令嬢が、初めて自分で仕事を選び、傷つき、失敗し、それでも一歩前へ進むまでのお話です。
  22. 67

    『貯金ばかりする男はつまらない』と彼女に捨てられた俺、経理部の年上美女から『その金銭感覚、結婚相手として理想なんだけど』と本気で狙われている/

    「たまの贅沢も出し渋るようなケチな男と、結婚なんて考えられない」 将来のための貯金や固定費の節約を「夢がない」と馬鹿にされ、浪費家の彼女・美咲に捨てられた青木和樹。 自分は本当につまらない男なのだろうか――失意の底に沈む和樹を救ったのは、社内きっての厳格な美女として知られる経理部主任の一条麗華だった。 和樹が提出した無駄のない経費書類と、自作の生活設計シートを目にした麗華は、驚愕ののちに確信を込めて告げる。 「これ、ケチじゃないわ。生活の天才よ。……ねえ、その金銭感覚、結婚相手として理想なんだけど」 一方、自由にお金を使えると喜んでいた元カノは、リボ払いの罠とアパート更新料に追われ、和樹が作っていた「見えない防波堤」の巨大さに気づいて泣きつくが――すべては手遅れだった。 地味な節約能力が「生涯を安心して預けられる最高の長所」へと反転する、大人の痛快&溺愛ストーリー。
  23. 70

    明日、婚約破棄される私が今夜やるべきたった一つのこと/

    七年間、王太子の政務を影で支えてきた公爵令嬢アリーゼ。けれど婚約破棄の前夜、彼女は気づいてしまう。自分が作った政策も、外交文書も、予算案も――そのすべてに残っているのは殿下の名だけ。私の名前は、どこにもない。 そこで彼女が今夜やるべきと決めた、たった一つのこと。それは逃亡でも復讐でもなく、王家に与えてきた《魔力保証》を、すべて引き上げることだった。 翌日、主役のいない断罪劇の裏で、王国は静かに崩れ始める。止まる外交協定。空白になる予算。露見する殿下の浪費。誰も、彼女が何をしていたのかを知らなかった。 一方その頃、北の辺境では。「戦場の狼」と呼ばれる大公が、行き倒れた彼女の才能を見出し、報酬と休日と権限を記した一枚の契約書を差し出していた。 「君の仕事には価値がある。だからこそ、正当な対価を払わせてほしい」 手を離しただけで自滅する国。生まれて初めて差し出された、正当な評価。私が取り戻すべきものは、殿下ではない。私自身だ。 冤罪、婚約破棄、そして全自動ざまぁ。役に立つことでしか自分を測れなかった令嬢が、自分の人生と功績を取り戻す物語。ハッピーエンド。
  24. 71

    『妻の不倫を知った俺は、何も知らないふりをして証拠を集めることにした』/

    妻・美咲との結婚生活は、何の問題もなく続いている――和也はそう信じていた。 しかしある日、妻が職場の上司・佐々木修平と不倫している決定的な証拠を掴んでしまう。 しかも娘の葵も、母親の不倫に気づいていた。 家族を壊したくなくて黙っていた娘の想いを知った和也は、怒りを胸に秘め、何も知らないふりをして証拠を集め始める。 そして迎えた離婚の話し合い。 そこで葵は、自分も母親の裏切りを知っていたことを父に告げる。 「私は、お父さんと一緒に暮らしたい」 最愛の娘に選ばれた和也は、妻との離婚を決意。 不倫相手との未来を夢見ていた美咲と修平は、家族、信頼、そして周囲からの信用を失っていく。 一方、和也は葵と二人で新しい生活を始め、壊れかけていた親子の絆を取り戻していく。 そして数年後――。 大学生になった葵は、父に再婚してほしいと願うようになる。 だが、妻に裏切られた和也は女性を完全には信じられず、恋愛そのものに臆病になっていた。 そんな父を心配した葵は、再婚相手の候補となる一人の女性・紗季を紹介する。 三人で食事をする中、和也は自分が経験した裏切りと、女性を信じることへの恐怖を正直に打ち明ける。 すると紗季は、無理に信じてほしいとは言わず――。 「一緒に、ゆっくり克服していきませんか?」 その言葉に救われた和也は、もう一度誰かを愛することを決意する。 やがて二人は交際を始め、葵が大学を卒業した後、ささやかな結婚式を挙げる。 さらに葵自身も大学で大切な人と出会っていた。 一度は裏切りによって壊れた家族。 それでも人生は、そこでは終わらない。 娘との絆、新しい恋、そして新しい家族。 これは、裏切りから始まり、もう一度幸せを見つけていく父と娘の物語。
  25. 75

    10年かけて貯めたお金で買ったタワマンが、夫と不倫相手の家になっていた/

    結婚五周年の日だった。  仕事が予定より早く終わり、三千万円の住宅ローンをようやく完済したばかりのタワーマンションへ戻ると、リビングのソファに一本の髪が落ちていた。  赤みがかった茶色の長い髪だった。私の髪は黒く、長さも肩までしかない。  嫌な予感がしてウォークインクローゼットを確認すると、見過ごせない痕跡が次々に見つかった。Diorのコートの襟には見覚えのない口紅がつき、Tiffanyのブレスレットが一本なくなっている。ほとんど履いていないLouboutinのヒールにも、はっきりと使用跡が残っていた。  写真を撮り、「重要な会議中」のはずの夫――圭介へ送った。 『家に誰か入ったみたい。警察に相談する』  それから十分もしないうちに、玄関が勢いよく開いた。  圭介は息を切らしていた。 「今日、なんでこんなに早く帰ってきたの?」  第一声がそれだった。  答えるより先に、玄関から顔認証ロックの電子音が響いた。  赤茶色の長い髪をした女が、両手いっぱいにショップバッグを提げて入ってくる。  足元にあるのは、私のLouboutinだった。 「圭介さん、ちょっと持って。もう手が痛いんだけど」  そこまで言って、女はようやく私に気づいた。  一瞬だけ目を見開き、すぐに不満そうな顔で圭介を見る。 「……なんでまだいるの?」  壁の時計を見て、さらに眉を寄せた。 「もう八時過ぎてるよ。八時からは私と過ごすって言ってたよね? ローンを払い終わったら、ちゃんと話すって言ってたじゃない」  女と圭介を交互に見た。  四年以上、毎月ローン残高を確認しながら働いてきた。少しでも早く、この家の借金をなくしたかったからだ。  けれど、ここで日常を過ごしていたのは、どうやら私ではなかったらしい。
  26. 書籍化作品2026年9月16日発売

    引き取った奴隷や孤児がいつの間にやら大成していた。世直し? いや、俺は生きるために金が欲しいだけなんだが?/

     傭兵生活二十年のおっさん。  ジェネラス・サンティマンは凄腕の傭兵、というわけではない。  自らは凡骨もいいところ。  対人にせよ対魔物にせよ一級の傭兵には遥かに劣るというのが自己評価である。  そんな彼だが、同業者からは「オーナー」の異名で呼ばれていた。  自己評価が低いジェネラスは、傭兵として独立した当初から、奴隷や孤児を自分と同じ傭兵に育てあげ、それぞれ依頼を受けさせることで、報酬を一部自分に譲渡させるという方法で金を儲けていたのだ。  要は下請け。    ジェネラスが育て、各地に放った子供たちはいつしか大成し、それぞれ名を挙げ、腕利きの傭兵になっていった。  そんな子供たちはジェネラスを恨むどころか親のように慕っていた。  彼らが依頼をこなし、名を挙げるたび噂に尾鰭がついて評判が上がっていくジェネラス。    そんなジェネラスはある時、自分と同じ名の傭兵が世直しをしているという噂を聞くが、本人には全く心当たりが無い。    今日もどこかでジェネラスの子供たちが依頼を遂行するたびに、本人の知らない間に世直しが進んでいたわけだ。  これから綴られるのは、しがないおっさんの勘違い英雄譚。  何も知らないジェネラスの向かう先は英雄か国家転覆を目論む大罪人か。  何も知らないジェネラスの明日はどっちだ。  
  27. 78

    【短編版】やたら張り合ってくるクラスの女子にテストで負けた。喜ぶ彼女に「親との約束だから転校する」と伝えたら、めちゃくちゃ曇った/

    同じクラスのチビ女子・駒ヶ林カルモは、なぜかやたら俺に張り合ってくる。 コーラ一気飲みやら階段駆け上がり競争やら、小学生レベルの勝負を仕掛けてくるアホなヤツだ。 あまりにうっとうしいので、ある日、約束させてやった。 定期テストで勝負して、負けたら相手の言うことを何でも聞く、と。 学年1位の俺が負けるわけがない――そう高をくくっていた俺だったが、カルモは目の色を変えて猛勉強し、俺を学年1位の座から追い落としてしまった。 勝ち誇る彼女は、赤面しながら俺に命令を告げる。 「そ、それじゃ、約束だからな。わ、私と付き合……」 だが、俺には彼女に伝えていないことがあったのだ。 「すまん。俺、親との約束で、1位じゃなくなったら転校しないといけないんだ」 「……へ?」 そのとき、俺は初めて見た。人間の目から光が失われる瞬間を。 「わ、私のせいで転校……? うそ、やだ、行かないでぇ!」 その翌日から、カルモの様子は一変して……? 不器用すぎて空回りする曇らせ女子との激甘ラブコメディ、開幕! ★週間ランキング(短編) ラブコメ部門 1位獲得 ★月間ランキング(短編) ラブコメ部門 1位獲得
  28. 84

    ヤンデレなんかいないだろ!と思っていた俺。ですが意外と近くにヤンデレ達がいた件について/

    九条晴翔はごく普通な高校生。 だがそんな晴翔にも、可愛い幼馴染、美人な母、クールな姉に元気いっぱいな妹、信頼できるかっこいい先輩、全員から好かれる先生がいる。 そんな晴翔だが放課後や休日に恋愛漫画を読むのだが、ある日『ヤンデレ』が出てくる恋愛漫画を読んだ。 そして晴翔が思った事はーー 「いやこんなヤバい奴、絶対この世にいないだろ」 ーーそう思ったのだ。 まだツンデレやメンヘラ、幽霊はいるから分かるが、『ヤンデレ』という生き物は絶対いないと思う晴翔。 翌日、その事を友達に言ってみるとーー 「意外と近くにいると思うよ?」 ーーそう言われた。だが晴翔はそんな簡単に信じきれずにいた。 そんな時に友達にこう言われた。 「ヤンデレって大体は他の女の子と話してたら姿を現すからやってみたら?」 そう言われた海斗は早速、幼馴染、姉妹、先輩、先生の前で試してみた。 そうすると続々と出てくるヤンデレさんたち。 そんなお話。
  29. 94

    夫は私が予約した産前産後ケアの個室を愛人に譲り、臨月の私には六人部屋へ行けと言った/

    出産予定日の一週間前、私は一人でキャリーケースを引き、半年前から予約していた凪ヶ丘メディカルケア・レジデンスを訪れた。  産前産後のケアを受けながら滞在できる施設で、私が予約していたのはマタニティ向けのプレミアムヴィラだった。ところが受付の女性は、端末を何度も確認したあと、ひどく言いづらそうな顔でこちらを見た。 「黒川様、大変申し訳ございません。ご予約いただいていたヴィラですが、昨日、ご変更の連絡が入っております」  思わず聞き返した。 「変更、ですか?」 「はい。ご主人から『ご本人も了承済み』とうかがいまして、現在は旧館の六人用相部屋を確保しております。ただ、そちらは出産直前の方には通常ご案内していないお部屋ですので、念のためご本人にも確認をと思いまして……」  一瞬、何を言われているのか分からなかった。  六人部屋?  私が了承したことになっている?  牧人に電話をかけようとスマートフォンを取り出したところで、家族のグループLINEに通知が入った。  最初に書き込んだのは牧人だった。 『まさか本当に行くとは思わなかった』  笑顔のスタンプまで添えられていた。  すぐに白石雪乃が返す。 『綾乃さんなら平気でしょ。あのヴィラ、しばらく療養に借りるね』  画面を数秒見つめ、そのまま宿泊をキャンセルした。  そしてスマートフォンで、南にある凪浦町の産科予約を確認する。  星ヶ崎からはかなり遠い。  ちょうどいい。  今度こそ、ここには残らない。
  30. 95

    姉貴の親友で二歳年上の美少女幼馴染に告白したら振られた。でも最強のアマゾネスは俺を他の女に渡す気がないらしい/

    「いい男になったら付き合ってやる」――振られたはずなのに、なぜか俺は予約済みらしい。 姉貴の親友で、二歳年上の幼馴染・浜口千佳(はまぐちちか)。 俺――浅香奏斗(あさかかなと)は、ずっと好きだった千佳に中学卒業の日、勇気を振り絞って告白した。 返ってきた答えは―― 「アンタ、まだ、いい男に育っていないから」 まさかの玉砕。 それなのに千佳は、俺をからかい、家に入り浸り、挙げ句の果てには―― 「良いか。他のヤツに触らせるではないぞ!」 ……いや、俺を振ったのお前だよな? 最強アマゾネスな年上幼馴染と、彼女に認められる「いい男」を目指す年下男子の、振られたところから始まる幼馴染ラブコメ。 この作品は下記のラブコメ作品から生まれた物語です。 よければこちらもお読みくだされば幸いです。 『 学校一の高嶺の花は俺が嫌いだった。でも、その正体は毎晩俺に恋愛相談してくるネトゲの相棒だった 』 https://kakuyomu.jp/works/2912051605540071578