耽美で古風な世界観に魅了される。これは確かに、“天気の話”なのだ──。
- ★★★ Excellent!!!
女中として丹波から京都にやってきたはなは、大学で天気の研究をしている男(旦那さま)の家で働くこととなる。
その細君は体が弱く、気難しい。
そして、その家の庭には、天気の観測に使う「百葉箱」があった。
最初、天気の話をしているのだと思った。
しかし、どうやらそうではないようだと感じた瞬間、期待と不安でわくわくし始める。
一体、観測されるのは何であるのか──。
はなは、素朴で純真。
旦那さまの言うことは、“旦那さまの言うことだから”という理由で信じれてしまうほどに。
そして、自分の思う「花曇り」を再現しようとする旦那さまの狂気と倒錯。
これは確かに、旦那さまにとっては天気の話。
彼にとっては、天気の話、でしかないのだ。
耽美で古風な日本の世界観で描かれる本作。
描かれる狂気に眉をひそめながらも、先を読まずにはいられない。
いつのまにか不思議に魅了されてしまうのだ。
このような作品をよく書けるものだと感動を覚える。
見事な幻想的な怪奇小説であった。
これはぜひおすすめしたい作品である。