「気が付くと朝だった。
私は〇〇になっていた。」
という文章から始まる、全5話のループものSFです。
私ループもの好きなのですが、この作品は、全く読んだことのないループものです…!!
文章、雰囲気、展開、読後感。
全てが独特で斬新で、読んでいて「すごい!」となります。
私は4話目が特に好きです。
核ミサイルの独白なんて、考えたこともなかったです!
開発者のT博士の細工も、とても良いです。
唯一無二の文章も素敵です。
素晴らしい短歌や俳句を詠まれる滝口様だからこその、センスとリズムが光る文章。
散文詩のように印象的で大好きです。
私は4話目の、
「どういうこと?
どういうこと?
どういうこと?」
などの3回のリフレインが特に好きです。
この作品は、昨年全4話で公開されていた作品のリニューアルバージョンだと思います。
旧バージョンもとても良く、大好きでしたが、パワーアップした完成版を読むことができてうれしいです。
カクヨムコン11【短編】応援しております!!
一話一話の驚きがあって、ぐいぐいと読めてしまいました。
第一話の主人公はテントウムシ。とある家の中に入り込んでしまうものの、住民は優しい。優しくティッシュでくるんで外に逃がしてくれる。
そうして原っぱで気持ちよく過ごそうとするが……やっぱり自然は厳しく、テントウムシにとっては穏やかな状況ではなかった。
そして、物語は第二話へ。テントウムシであった「私」は今度は家の住民になっています。
つまり、「私」は「このシチュエーション」に登場する様々な「存在」に次々と生まれ変わるという。テントウムシから始まり、それを逃がしてあげた住民。そして次は……と。
一体、「私」の身には何が起こっているのか。そして、今の「この場所」ではなんらかの異変が発生しているのか。
同じ時間をループ。その度に別の何かに生まれ変わっている。そんな異常な状況のんかで、立場を変え、視点を変え、「いま」起きていることを少しずつ掴んでいく。
そうして見えてくる状況。衝撃的な「ある存在」に生まれ変わったことにより、事態が大きく意味を変えていきます。
……いやもう、とにかく圧倒されました。
視点変換されてループしていく設定がとにかく面白すぎる。それによって事情が少しずつ見えていくサスペンスな展開。
読者の心をがっちりと掴み、「次には何が起こる?」と強い興味を抱かせる。とても充実した読書体験を得られる一作でした。