女中として丹波から京都にやってきたはなは、大学で天気の研究をしている男(旦那さま)の家で働くこととなる。
その細君は体が弱く、気難しい。
そして、その家の庭には、天気の観測に使う「百葉箱」があった。
最初、天気の話をしているのだと思った。
しかし、どうやらそうではないようだと感じた瞬間、期待と不安でわくわくし始める。
一体、観測されるのは何であるのか──。
はなは、素朴で純真。
旦那さまの言うことは、“旦那さまの言うことだから”という理由で信じれてしまうほどに。
そして、自分の思う「花曇り」を再現しようとする旦那さまの狂気と倒錯。
これは確かに、旦那さまにとっては天気の話。
彼にとっては、天気の話、でしかないのだ。
耽美で古風な日本の世界観で描かれる本作。
描かれる狂気に眉をひそめながらも、先を読まずにはいられない。
いつのまにか不思議に魅了されてしまうのだ。
このような作品をよく書けるものだと感動を覚える。
見事な幻想的な怪奇小説であった。
これはぜひおすすめしたい作品である。
京都のとあるお屋敷に、「はな」という女中が奉公にやって参りました。
どこかぼんやりしたところのある女性で、それでよく叱られておりました。
サテ、
庭に百葉箱の置いてあるこのお屋敷で奉公することになった「はな」
旦那様は、いつもいつでも「何か」の研究に没頭し、
奥様は美しい方ですがなんとも不安定な方にございました。
この不可思議なお屋敷で行われていたことは何か……?
そして、ここで「はな」が見つける真実とは……?
京都弁で繰り広げられる、
SFホラー……になるのでしょうか?
切ないのは、旦那様を取り巻く人間関係なんですよね……特に奥様の気持ちを考えると胸が潰れる気持ちになります。真実がわかった後であるなら尚更……。
ご一読を。