読んでいく中で、どんどん物語の印象が変わっていく。その感じがとても楽しかったです。
序盤の雰囲気では、「隣に彼女」がいて、「シーツの体温」なんて単語が出てくる。
あ、なんかちょっと大人な雰囲気。カップルのしっとりとした会話なんかが描かれているのかな、とか印象を持ちました。
「お天気」という言葉が嫌いだという主人公の彼。その一方で彼女がそんな「こだわり」に微笑んでくれ、そのまま天気について思うところを語り合うような形になっていきます。
でもそこから更に読み進めると、「ん?」とどこか引っかかるものが。
「彼女」との会話を通すことで、「天気」についてのイメージの捉え方がどこか普通と違うことに気づきます。
これは、当初イメージしていたようなカップルのほのぼのトークとは何かが違うのではないか。
今ここにいる「彼」と「彼女」は何者なのか。そんな興味が湧いてきてぐいぐいと読み進めさせられることになります。
「天気」とは、「空」とは。そういう「当たり前」な前提さえも覆されていく感じ。当初と見えている風景が変わっていく様が、新鮮な読後感を与えてくれてとても楽しかったです。
冒頭の「しっとり感」からこの物語がどんな場所に着地するのか、是非とも見届けてみてください。