これはある絵描きの悲劇だ。
彼女は天才だと評されていた。
恵まれた容姿から、気象を操る天使とも言われていた。
しかし、彼女の絵は作者の意図通りに解釈されない。天気を描いたその絵は読者たちによって不吉なメタファーとして解釈されてしまう。
そのきっかけは新興宗教の教祖である父が起こした事件。
渋谷のスクランブル交差点で信徒たちと共に無差別テロを起こしたらしい。
教祖の娘であった彼女は人々から憎しみの捌け口にされた。
天使として扱われていた彼女は悪魔へと堕ちてしまう。
最後、彼女は自分すらも芸術作品として昇華する。
その結果、世界に何が起きるのか……。
作者と読者のディスコミュニケーション、人間の身勝手さ、醜さ、様々な問題がこの短編に凝縮されている。
皆さんも是非、この素晴らしい作品を読んで、何かを感じ取ってほしいです。
不条理。その果ての更なる不条理。
絶望感の先にある「破滅以上の破滅」みたいなものがあって、逆にそれが「美」にすら感じられました。
主人公は画家の女性。その絵はこれまで評価されていたはずだったのに、「父」のせいで全てが台無しに。
父が新興宗教の教祖として、多くの人間を虐殺する事件が起こる。
それに伴い、彼女がこれまで描いてきた絵の数々も、そんな事件を象徴したものだったかのように解釈される。
彼女だって父親の被害者だった。だが、世の中の誰も「真実」なんかには興味を持とうとしない。
歪められ、貶められ、そして迫害される。そんな重圧の中で彼女が見たものは……。
破滅もあまりにも酷くなると、その深すぎる絶望感が「解放」や「救い」に思えることがあるのかもしれない。
そういう現実の「深淵」を描き出したような、とても鮮烈な物語です。