苦しい状況にある方々へのエールとも感じられるあたたかな物語。おススメ。

不誠実だったのは会社で主人公ではないのに、どうして奥さんも娘さんも出て行っちゃうのだろうか。

本当に主人公を家族と思っているのなら「主婦だってパートで働けるし、私が働いている間に次の仕事を見つけて。むしろ四十年間ありがとう」とか娘さんも「この際、バイトして労働の大切さってのをまなんでくるよ」とか、とにかく支えるべきで出ていくなんて冷たすぎない?

と、思って読み進めていたのですがラストに奥さんが「私たちも帰りたいと思っていたの」と言っているのを読んでハッとしました。

自分たちが出ていくことで、年齢を免罪符に再就職をあきらめたり、現実逃避しないよう、わざと冷たくしたのだろうと思い至ったんです。

家族だからこそ、絆があるからこその行動だったのだと。

そして宝くじも「安易に七億当選して終わり」でなかったところがすごく良かったです。

再就職が決まって、いざ働くときも主人公本人の丁寧さとか、これまでの経験が評価されていて、キャラクターが物語に沿って動いているのではなく「この人の歩んだ軌跡が物語なんだ」と血の通った人間の人生として胸に迫ってきました。

現実にリストラされたりしている人にとって希望が持てるあたたかい物語だと思います。

おすすめです。

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