いつ、どこで、この人生を間違えてしまったのだろう。
そんな後悔に呑まれる夜が、人には誰しもあるのかもしれません。
社会からは軽んじられ、家族からは見捨てられ、それでも“まだ終わっていない”と信じたい男の叫びを、今日も街は聞こえないふりして廻っていく……。
そんな男の前に現れたのは、一軒の小さな古本屋。
店主は夢の“値”を、男の胸に問いかける。
望んだその夢とは本当に、宝くじ一等のような7億円の“値”なのだろうか……。
人生に少しずつ差し込むその光は、壇上のスポットライトなどではなく60ワットの部屋の明かり。聞こえてくるのは楽団によるファンファーレなどではなく、季節外れの風鈴の音。
人生における“夢”とは、“値”が付けられない幸福の価値を自分で見つけられるかどうかなのでしょう。
後部座席でうたた寝する家族を乗せて、その中古車は時速40㎞以下でゆっくり進む。
そうした幸福の1ページを書き記して忘れないようにするために、この「人生」という名の一冊の本は、誰しもの胸の中にあるのだと思います。
ペンはきっと、7億円で買わずともすぐそこにある。あなたの胸ポケットに……。
ふと人生に迷った時に、栞を挟むようにして心にとどめたくなる、小さな奇跡の物語でした。
一日だけ幸せでいたいならば、床屋に行け
一週間だけ幸せでいたいなら、車を買え
一ヶ月だけ幸せでいたいなら、結婚をしろ
一年だけ幸せでいたいなら、家を買え
一生幸せでいたいなら、正直でいることだ
某お父さんの名言ですがね。
なんだか核心めいていると思うんですよ。
幸せってなんだろうなあ。って、大人になったら常に考えるわけです。
幸せをずっと考えている自分は、不幸ではないにせよ、幸せとは言えないと思うからでして。
じゃあ何が結局のところ幸せなのか?
飽食の時代を生きて餓える心配がなく、
挨拶ができて遅刻しなければ不当にクビになることもなく、
治安良しのこの国で憂鬱なため息を吐く。
何をしてんだろうと思うわけです。
この物語の主人公は、還暦前にして全てを失いました。
四十年勤めた営業職をリストラされたそうなのでございます。
そして、安月給に付き合ってくれた家族に見限られて出ていかれ、
一人路頭に迷う。
そんな中、不思議な本屋を見つけて……
そこから本当の幸せについて考えるわけですな。
七億円の年末ジャンボが幸せか?
黄色い声援を浴びて注目されることが幸せか?
今一度問われていますな。
幸せって、結局何?
ご一読を。