300円の「重み」で人生が起きる――夢と現実が接続される瞬間

この短編が強いのは、奇跡で現実を塗り替えないまま、読者をきちんと救ってくる点です。
幸田恒一の崩れ方も過剰に劇的ではなく、現実にいそうな隣人として胸に入ってきます。

終盤も「成功」ではなく小さな行動の積み上げで再生させる誠実さがあります。
そして着地が一等ではなく「あたりは300円」。
ここで作品の芯がはっきりする。「自分の力で稼いだ金」という事実に重みが宿り、夢と現実が接続される瞬間が、読後感を本物にしています。

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