概要
あの人はもういないけれど、私の作品の中で、いまも確かに息をしている。
作家志望の「私」は、梅雨の午後、京都の実家でひとり暮らしの母が倒れたと知らされる。病室に通いながら新人賞の原稿に向き合う私に、母はいつもの口癖「えらいこっちゃ」で茶々を入れる。その声はやがて小説の中へ紛れ込み、私の文章を変えていく。
大切なものは、失ってはじめて気づく。読み終えたあと、きっとあなたも大切な人に会いたくなる――そんな不器用で切ない物語。
大切なものは、失ってはじめて気づく。読み終えたあと、きっとあなたも大切な人に会いたくなる――そんな不器用で切ない物語。
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!そこに、確かに宿っている
人には「良くて七癖」などという言葉があるくらい、色んな癖があります。
口癖もその一つです。
ふとした拍子に、つい口走ってしまういつもの言葉。
あるいは、ここぞという時の決め台詞かもしれません。
いずれにしても、それはその人を象徴する、確かなアイデンティティなわけですね。
ところで、人というのは尊敬している人や愛情を抱いている人の癖を、無意識に学び取って真似てしまうという習性があるようです。
……成程、主人公にとって、お母さんという存在はとても大きくて大事な存在だったということですね。
大事なお母さんの意志、確かに受け継ぎ、宿したようです。
これもまた、母と子の愛の形かも知れません。
そん…続きを読む