無慈悲な法に隠された、暖かな善意の物語。

海外旅行をしたことがある方なら、税関の厳しさとその必要性はご存知かと思います。デニムに付着した一粒の種子が、生態系を破壊する可能性だってあるんです。

もしも、得体の知れない異世界からの帰還者向けの税関があるとしたら?その責任は重大でしょう。未知の伝染病や動植物、魔力の籠った呪物まで。厳しく取り締まらないと、国内の平和を脅かすかも知れません。

本作の主人公は、そんな異世界から帰還した日本人向けの税関職員です。彼は日常を守るべく、淡々と職務を遂行します。無慈悲なほどに、帰還者達の思い出の品を没収していく。

しかし、帰還者達の「思い出の品」は、ただの海外旅行のお土産とは訳が違います。見知らぬ異世界に放り出され、生死を彷徨い、かけがえのない物を失って、数年かけて帰還した者達。

そんな帰還者に対し、主人公は法知識と機転で無双します。爽快なくらいです。

爽快だけど、あったかい無双っぷり!

本作の心暖まる結末を、是非見届けて頂きたい。私たちの日常は、冷徹な法と、それを司る人間の暖かな善意によって保たれているのかも知れない、と。そんな感謝の意を禁じ得ない短編でした。

するすると読めてしまう文体も素晴らしいです。ぜひ、読んでみて下さい!
熱烈に推したいです!!

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