「愛」って、一体何なのだろう。

互いに互いを求めずにはいられない、「僕」と「彼女」。
肌を重ね合わせなければ生きていけないような二人に変化が訪れるのは、ほんの僅かな空白がきっかけでした。

読了後、考えずにはいられませんでした。愛って、一体何なのだろう、と。

「僕の愛は、今もあなたに」。キャッチコピーの通りで、「僕」の愛は、ある意味永遠のものとなって結末を迎えます。

でも、その「愛」の正体とは?

好き? 大切? 離れたくない? どれもが当てはまるようで、どれも当てはまらない気がします。綺麗な言葉にできるものじゃない。もっと奥深くて、どろどろと濁っていて、「じぶん」の魂とは切り離せない、切実なものなんじゃないかと。

どんな代償を払ったとしても、「僕」が生きていくために必要だった何かが、本作で描かれているように思いました。

人の心の深い深い所を探るような、稀有な短編だと思います。
ぜひ、お読みになってください!

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