概要
北の国の夜が、暗く、永くなったのは、その時よりとも言われております。
上古のころ、宮の柱と壁とのことごとくに、天下の種々のものを描かしめんと。
数多の絵の描き手が召されて、最後に残りし二人の匠の、さらに一人のみを選ぶべく、
授けられた御題、それは、卵でありました。
柴田恭太朗様主催の企画『三題噺 #125』参加作品。
お題は「題」「偶然」「卵」です。
数多の絵の描き手が召されて、最後に残りし二人の匠の、さらに一人のみを選ぶべく、
授けられた御題、それは、卵でありました。
柴田恭太朗様主催の企画『三題噺 #125』参加作品。
お題は「題」「偶然」「卵」です。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!鮮烈な色彩の乱舞。鵠飛ぶ朔の空。
上代の頃、時の帝が建てた宮には、世の
種々を壁に柱に描かせて、万物をその宮に
再現させようとした時のこと。
絵師に技を競わせて、遂に二枚の匠が
勝ち残る。
一人は、山川草木蟲魚禽獣を悉く鮮やかに
描き出し、それらは生命を得て動き出すと
讃えられた『花浦』の匠。
いま一人は、と或る貴人の家の壁に描いた夜空の様が、星一つ一つ悉く真の夜天と
相違いなき色と輝きを放ったという、
『鞍崗』の匠。
帝よりの課題は 卵 それも、北方の
雪と風の中に生きる、まさに白々と光る
白鵠の真白き美しい卵を描く事で、雌雄を
決する運びとなったが…。
雅やかで端正な文筆に流れる、其々の匠の
焦燥と苦悩。この世…続きを読む