白と黒の極限によって織りなされる凄絶な芸術の深淵
- ★★★ Excellent!!!
冒頭から古語の響きを活かした格調高い文体が、読者を一瞬にして神話的世界へと引き込みます。
また『白』というお題に対して対極の『黒』が立ち現れるまでの緊迫感が素晴らしく、実物を求めて各地を彷徨う『花浦』の執念と、内なる真理を追求する『鞍崗』の対比にも読者は興味をそそられます。
さらに一滴の墨が『至高の白』から『絶対的な闇』へと反転させる描写は狂気と罪の重さを鮮烈に描き出し、それが強烈なインパクトを残していく。
そして結末で明かされる「黒鵠」の正体と、冬の夜が長くなった由来。
その美しくも禍々しい情景は読み手の心に決して消えない影を落とすのではないでしょうか。
書き連ねられる言葉の一つ一つがナイフのように鋭利で、またそれが静謐な恐怖と美しさと相まってまるで至高の芸術のような仕上がりとなった傑作。
これを読まずして文学を語ること勿れ。