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黒鵠 ~くろくぐい~

黒鵠 ~くろくぐい~

武江成緒

おすすめレビュー

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★★★
★12
4人が評価しました
本文あり
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本文ありのおすすめレビュー

  • 小野塚 
    1645件の
    レビューを投稿
    ★★★ Excellent!!!

    鮮烈な色彩の乱舞。鵠飛ぶ朔の空。

    上代の頃、時の帝が建てた宮には、世の
    種々を壁に柱に描かせて、万物をその宮に
    再現させようとした時のこと。
     絵師に技を競わせて、遂に二枚の匠が
    勝ち残る。

    一人は、山川草木蟲魚禽獣を悉く鮮やかに
    描き出し、それらは生命を得て動き出すと
    讃えられた『花浦』の匠。
    いま一人は、と或る貴人の家の壁に描いた夜空の様が、星一つ一つ悉く真の夜天と
    相違いなき色と輝きを放ったという、
    『鞍崗』の匠。

    帝よりの課題は 卵 それも、北方の
    雪と風の中に生きる、まさに白々と光る
    白鵠の真白き美しい卵を描く事で、雌雄を
    決する運びとなったが…。


    雅やかで端正な文筆に流れる、其々の匠の
    焦燥と苦悩。この世で最も鮮烈な色彩の
    対比で描き出す、匠たちの戦いと顛末は
    如何なるものだったのか。

     故に、北方に於いては夜が昼を凌駕する
    そんな不思議な物語である。


    • 2025年12月29日 13:37