珍しい、邪竜の視点で描かれた独白の物語。
しかも勇者と呼ばれた人間に生命を奪われる
その刹那を切り取ったもの。更に言えば
この掌編は長編が目白押しの
『異世界ファンタジー』の括りになる。
それも又
珍しきものと言えるだろうか。
傲慢な竜は、何百年の間ヒトの営む城を浚って
宝物を寝床とする穴蔵に溜め込んでいる。
この世の 美しいモノ を独占し恣にした
邪竜は、いつしか追われる立場に転じていた。
ムシケラ同然の ヒト に、致命傷を受け
今まさに死を迎えようとしている。
数百年もの長きに渡り生きて来たものを。
勇者であろうが一捻りの目算が、形勢逆転。
翼は潰されて骨は折れ、何よりも硬く
強い鱗を貫いた剣が今にも命を奪う。
ならば、ムシケラ諸共。
だが、此処で予期せぬ出来事が邪竜の目の
前に展開される。
これは間違いなくファンタジー。そして
死にゆく竜へのRequiemだ。