丼の上の、真っ赤な宙
- ★★★ Excellent!!!
ラブストーリーです。それも壮大な。
おそらく正直な方なのでしょうな。主人公は愛想笑いが全くできません。
しかし、正直者が生きやすい世の中なのかというと、決してそうではないようで……
周りと違うからという理由で粗雑に扱われ、いじめられ、
輪に入れない。そんな生き方をしてきたのだと思います。
そんな彼女の恋人は、
真冬に短パンとタンクトップを着て、砂場で遊ぶおじさんです。
彼は宇宙人なのだそうです。
缶蹴りが好きなのだそうですが、私の想像だと缶蹴りって二人ではできないと思うので、ただ単に空高く間を蹴り上げることなのではないのかな? と思います。
それとかくれんぼ、
あとは、いくら丼とセックスが好き。
私が知っている中年男性のつまらない概念の、真逆をいかれる方にございます。
そんな宇宙人との生活の中で、彼女が覚えるいくつかの事。
産んであげられなかった命といくら丼。それから星。
それから、宇宙のどこかにあるという「言葉のいらない世界」
たった4千文字弱で、村上龍の作品を読んだ後のような感覚。
二人きりの公園から、宇宙へ飛び立つ空き缶。
これぞ、スペースラブストーリー。
ご一読を。