“宇宙人”って呼んでしまえば、世界との距離が少しだけ楽になる
- ★★★ Excellent!!!
「感情がない」と言われ続けてきた語り手が、冬の公園で“宇宙人”を自称する中年男性と出会うところから、この短編は動き出す。奇妙なのに、妙に生活っぽい。耳と指先に出てくる描写が、読み手の身体感覚をじわじわ巻き込んでいく。
面白いのは、この物語が「正しさ」や「普通」を説明で裁かないところ。迷惑の境界、他人の目、名前の重さ、触れられること/触れることの温度。そういう“測りにくいもの”が、二人の遊びと食事の反復の中で、静かに形を持っていく。