英雄として呼ばれたはずが、待っていたのは奴隷への選別だった異世界転移譚
- ★★★ Excellent!!!
読み始めた瞬間から、「これ絶対“英雄譚”じゃないやつだ」と胃の奥が冷えていく導入が最高でした。
主人公は特別な才能も派手な過去もない、ただ“普通”に留まるために努力してきた人間。その等身大の独白が丁寧だからこそ、教室を塗り潰す閃光と転移の非現実が、現実を引き剥がす暴力として刺さります。異世界召喚ものの定番である「ようこそ英雄様」を、ここまで不穏に響かせる冒頭はかなり異質です!
そして本作の肝は、歓迎ムードゼロの“扱い”が早々に露呈するところ。言葉が通じる安心感を与えた直後に、「番号で呼ぶ」「地下へ」「牢屋」「七日間の適性検査」と、人格を削り落としていく手順が淡々と提示される。ここに救いがないのは世界観だけじゃなく、システムそのものが“人間を人間として扱わない”設計になっているからだ、と理解させられます。恐怖の質が、モンスターではなく管理と選別に寄っているのが上手いですね。
また、隣席の悠斗の視点がいい緩衝材になっていて、パニックにならず「なぜこの人数? なぜ教室単位?」と違和感を言語化してくれることで、読者の不安が“考えさせられる不安”に変わる。推理の糸口を出しつつ、答えは出さない。この引きが続きへの依存性を作っています。
タイトル通り、異世界に来た“俺”が英雄ではなく奴隷として扱われる地獄の入口を、綺麗事抜きで描いた作品。転移モノの甘さを期待して読むと痛い目を見るけれど、理不尽に蹂躙される側からのサバイバルを求めている人には、がっつり刺さるはずです。続きを読むのが怖いのに、ページをめくる手が止まらない。そんなタイプの面白さでした。