世界の終わりで選ばれる、たった一つの愛と決断。

読み終えたあと、しばらく何も考えられませんでした。
派手な展開ではなく、静かに積み重ねられる選択と覚悟が、最後にどうしようもない重さとして残ります。

「守る」という行為が、救いにもなり、同時に取り返しのつかない罪にもなる世界で、主人公はただ一人を愛し続ける。その姿が崇高でも英雄的でもなく、弱くて必死で、だからこそ現実味がありました。
赤ん坊の存在、手首を斬る決断、そして最期の引き金まで、すべてが論理では正しくても、感情としては間違っているかもしれない。その曖昧さが、この物語をとても人間的にしています。

世界が壊れていく話でありながら、描かれているのは終末ではなく「日常を失った後の愛」でした。
救いがないのに、嘘のない優しさが確かに残る一作だと思います。

その他のおすすめレビュー

都丸譲二さんの他のおすすめレビュー80