オマケも楽しめる壮大な一大戦争絵巻!

一国の王と美しすぎる王女、それに関わる男女二人の愛憎劇から始まる国家の壮大な興亡記です。二つの作品を統合した長編となっております。

第一部『閉じ込められた、美しく、聡明な、王妃の祈り』は、エリトニー国王の嫉妬深さによって悲惨な結末を迎えた愛憎劇です。オンナゴコロの描写が秀逸で、作者は実は女性なのではないかという噂がたった話題作です。

続く第二部以降は、『エリトニー興亡記』。エリトニー国王の忘れ形見である双子のセシルとアロイスが、ホランド国からの自国の独立と復興を目指して活躍する一大戦争絵巻です。

作者初めての戦記ということで、戦いに向けての訓練の様子や、国を興す為の政策の描写が非常に細かく、そこには並々ならぬ気合いが感じられてとても好ましいです。

戦術や国づくりに関する記述に具体性があって、作者の作品に対する真摯な取り組みと研究心が伝わってくるなと思いながら読んでいます。

そして、時々挟まる“オマケ”では、登場人物の恋愛事情を面白おかしく記述していて、緊張感をほぐしてくれます。

戦記物より恋愛ジャンルの方がお得意な作者さんですから、どうしてもこのようなオマケを入れたくなるのでしょうか。そのおかげで女性でも楽しめる作りになっております。

臨場感が半端ない傑作戦記、おススメです!

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