私の数字で、砦や村のみんなを守って見せる!

 国に見捨てられたような北の砦に、一人の女性文官がいた。軍師とも呼ばれるこの女性が、本作の主人公である。主人公は数字と計算を武器に、比喩的にも実際的にも「死にかけた砦」を再興していく。砦を任されていたのは一匹狼の雰囲気を持つ男性。主人公とこの男性は初めこそ反発し合うが、徐々に信頼関係を構築していく。
 まずは砦の胃袋である食糧庫。ここではあるはずの数字が欠けていた。そして砦が管轄する村ではそれぞれの能力が存分に生かされていなかった。さらに砦の兵を見てみれば武器が欠け、兵力になるはずの兵が機能していなかった。これらをいつも沈着冷静な目で確かめ、数字に置き換え、計算し、次々に指示を出していく。
 ところが、砦が正確な数字のもとに機能し初め、村に好循環がもたらされ出すと、切り捨てられていた砦に目をつける輩も出て来る。

 果たして主人公は砦を生かし、人を生かし、敵を退けることができるのか?
 そして主人公の計算を狂わせる危機が砦に迫る!
 主人公が隠してきた本当の姿とは?

 今までの「溺愛もの」や「女性主人公」とは一味も二味も違う女性像がここにある。数字と計算という一見無機的なものが、主人公のキャラクターと合っていて、そこが面白い。弾き出される数字と、砦や村の個性豊かな面々とが絡み合って、物語が進んでいく。まるで本当の帳簿を見ながら盤面を動かす「ゲーム」をしているような感覚です。

 是非、是非、御一読ください!

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