ピアノという楽器、世界には数多くの楽器が存在しますが、何故ピアノは愛されているのでしょうか?
僕はクラッシックにそこまで精通していないのでとても語弊があるかもしれませんが、エモーショナルな表現をする楽器の代表をバイオリンとした場合、ピアノは人生を表現する楽器の代表ではないかと思うのです。
思い出して欲しいです。様々な絵で作曲家達は「ピアノ」を使って作品を作曲しております。それは構造的かつ論理的な意味も含めてですが、やはり僕はそこに彼らが「人生」を表現する場合、やはり「ピアノ」でなければ生まれないものがあると思うのです。
さて、本作です。
衝撃的なオープニングから始まります。
概要から抜粋「約三ヶ月前、自宅のベランダから飛び降りた中学一年の男子、梶山優希。ピアニストへの道を母から強く嘱望され、幼い頃からの母の苛烈なピアノの指導に耐えきれなくなった末の選択だった」
多くの「ピアノ」を扱った題材の作品では、宿命的に現れるこの絶望感。僕はピアノを完璧に弾きこなすというのは、完璧な絵画を一気に書き終えるのと同じ事で、物凄く大変な事だと思っています。
考えてみてください。ダビンチにライブコンサートをするから、世界中のホールで「モナリザ」を常にゼロから完璧に書き続けてくれと頼むのと同じ様なものです。
ピアノ演奏の完成度とは、そこまでを要求するものです。
ピアノが奏でる旋律の美しさには、狂気の様な苦悩と練習が伴うのです。
本作では飛び降り自殺をし、幸いにも命が助かった主人公優希のその後が書かれております。それはどんな道なのでしょうか?
お勧め致します。
鮮やかな筆致により紡がれた良質な短編です。読後の爽やか余韻をお楽しみ頂ければ幸いです。作中に使われる曲を同時視聴するとさらに素敵かと思います。
皆様、宜しくお願い致します( ;∀;)
幼い心で挫折を味わうのはどれほど残酷なことでしょうか。本作はまだ中学一年の少年が人生を揺るがすような挫折を経験したあとから始まります。
ピアニストとしてもう一度心から敬愛する人に近づきたい。その思いは彼をもう一度鍵盤の前に座らせる勇気をくれます。
楽譜に込められた言葉にならない感情。それを自分の指を通して音にすることは、作曲家の人生を自分の体で生き直すことなのかもしれません。そしてそれには本当の理解者の耳が必要であることも忘れてはなりません。
傷ついた鳥がふたたび羽ばたくような希望を感じる一作です。ぜひ主人公を一緒に見守ってください。
主人公の少年は母親の苛烈なピアノ指導に疲れていた。コンクールの予選を突破しても、怒鳴り散らされるような日々。練習中もそれは続いていた。そんな主人公を支えていたのは、友人のフレデリックだった。
母親から解放された主人公は祖母に預けられることになり、そこでフレデリックと再会する。そして距離を置いていたピアノを祖母の家で見つけ、弾いた。この時から再び音楽の世界で呼吸をすることができるようになった主人公は、ピアノを再び練習し、ある夢を見る。この夢をきっかけに、主人公はまた人前でピアノを弾くことになる。ただ、祖母とフレデリックに聴いてほしかった。
白と黒の鍵盤を、滑らかに走る様が、まぶたの裏に映るような一作でした。クラシックの知識がない小生でも、主人公とフレデリックの友情が主軸になっているので、読みやすかったです。最後は続きが気になる終わり方でした。
是非、御一読ください。