夫・山田方谷への手紙
- ★★★ Excellent!!!
幕末期、財政破綻寸前の備中松山藩において藩政改革を断行した山田方谷。
身を捨てて困難に挑む彼を、妻美和からの視点で描く短編となります。
といっても、それは方谷の偉業の解説文ではなく、あくまで夫の健康を案じる妻からの手紙という形で綴られます。
この視点の置き所が素晴らしいです。
企画参加作品のため3000字という制限があり、方谷の半生について語られない部分も多くあります。しかしそのことがむしろ年表の中にあらわれない、人間・山田方谷を浮き上がらせているように感じます。
幕末・明治期を彩った偉人たちと比べれば、この山田方谷という人物は決して知名度が高いわけでもないかもしれません。
だからこそ、彼に光を当てた作者様に感謝と拍手を贈りたい。
おすすめです。ぜひ。