概要
南北朝の名将が、最期の戦いに挑んだ理由とは――
建武3年(1336年)5月、楠木正成は九州から東上する足利尊氏と戦うよう命じられる。その戦いは――のちに湊川の戦いといわれる、正成最後の戦いだった。この時代を象徴するような、はっきりしない、くずついた天気の日――おそらくは帰ることなき征旅へと出る正成は、途次、桜井という地で、息子の正行(まさつら)に別れを告げる。正行は連れて行って欲しいと願うが、正成は拒み、その心情を吐露する……。
おすすめレビュー
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- ★★ Very Good!!京都防衛戦の鉄則
都は攻めるに易く守るに難し、敵が攻めてくればあえて明け渡し、周囲を囲んで糧道を断つ。この至極まっとうな献策をした楠木正成に、帝の権威、政の鼎の軽重を盾に反対した坊門清忠。この一例で坊門は現代まで愚か者として名を残しています。(人気漫画逃げ上手の若君等)救いがないのは、あろうことか後醍醐天皇は坊門を支持し寡兵の楠木軍を大軍の足利軍の前に派兵して野戦をさせて全軍壊滅させてしまうのです。後醍醐天皇の数ある失策の中でも極めつけの悪手でした。ですが、作中で正成はこの後醍醐天皇の決断に一定の理解を示しているのです。楠木正成が納得して死地に赴くのなら仕方がないと思う一方で上の下策でこれほどの偉人が死なねば…続きを読む
- ★★★ Excellent!!!青葉茂れる桜井の、里のわたりのお天気は?
今回のカクコン11(短編)「お題フェス」のお題は「天気」。ちょっと範囲が広すぎないか運営。
歴史上、天候が影響した出来事は無数に存在するだけに、数々の歴史物を手掛けてこられた四谷氏が、果たしてどんな題材を選ぶか注目しておりました。
そして示された答えは、事実上「建武の新政終了のお知らせ」となった「湊川の戦い」。特にその直前、『太平記』屈指の泣かせどころでもある「桜井の別れ」を中心に据えた短編です。
作者である四谷氏は、カクコン11に、南北朝の争乱を題材とした長編短編を応募されておられますが、本作もまたそのシリーズのひとつ。湊川の戦いの内容には直接触れず、何故楠木正成ほどの名将が勝ち…続きを読む