青葉茂れる桜井の、里のわたりのお天気は?

 今回のカクコン11(短編)「お題フェス」のお題は「天気」。ちょっと範囲が広すぎないか運営。
 歴史上、天候が影響した出来事は無数に存在するだけに、数々の歴史物を手掛けてこられた四谷氏が、果たしてどんな題材を選ぶか注目しておりました。
 そして示された答えは、事実上「建武の新政終了のお知らせ」となった「湊川の戦い」。特にその直前、『太平記』屈指の泣かせどころでもある「桜井の別れ」を中心に据えた短編です。

 作者である四谷氏は、カクコン11に、南北朝の争乱を題材とした長編短編を応募されておられますが、本作もまたそのシリーズのひとつ。湊川の戦いの内容には直接触れず、何故楠木正成ほどの名将が勝ち目のない戦いに赴いたかを、「建武の新政」の再評価とともに描いています。

 南北朝争乱の重大な区切りとなる一戦に、正成が死を覚悟して赴いた理由については、主に後醍醐天皇への忠節と解されてきました(特に戦前)が、果たしてそれだけが理由なのでしょうか? 読み終えた後、作品のタイトル「何のために」をしみじみと胸中で噛みしめることになるであろう本作、是非ご一読ください!