第9話 強敵戦

 ギルドに戻ってきたレイとオウロは、その日はマクセルと今後の方針について話して解散となった。


 マクセルはレイの体を調べたそうだったが、エリの圧に負け後日確認することで引き下がった。


 その会話の中でレイは感じ取った、エリを怒らせたら大変なことになりそうだと。

 自分も気を付けようと。


 日も傾き、段々と涼しくなってきたころ、カラマタではギルドメンバーに宿舎が用意されており、2人はそこに向かった。


 宿舎は3階建てのアパート。

 希望するギルドメンバーは利用することが出来、家賃は1月銀貨2枚。

 食事は1食銅貨1枚で提供される。


 格安であることは皆承知しているが、特にペレの町で過ごしていたレイには特別に感じられた。


 夕食を共に摂ることにした2人は、食事処に向かう。


「はい!大きい体の2人には、おまけしといたよ!」

「いつもありがとうございます!」


 元気にオウロが答え、補助員の貫禄のある女性からワンプレートを渡される。


 内容は、

 コーンとチーズが練り込まれた焼きたてのパン、根菜たっぷりのスープ、豚肉を薄めにカットし、甘じょっぱい味付けのメインディッシュ、彩野菜のサラダの4品だった。

 おまけしてくれたこともあり、総重量は約600g。

 大食感でなければ完食は難しい量だった。



 その料理を前に、2人は手を合わせて

「いただきます。」


 の言葉と共に食べ進め、ものの10分足らずでレイは完食。

 オウロがまだ食べているタイミングで、補助員の女性が寄ってきて、


「あなたよく食べるわね!まだいけるかい?」

「え、あ、ああ、いいのか?」

「もちろん!こりゃあ、明日から作り甲斐がさらに増すね!」


 パンが2つ追加され、肉料理も元通りになるほど追加された。


 レイは、補助員の女性に問いかける。


「1つ聞いていいか?」

「なんだい?あっ、追加しすぎちゃったかい!?」

「いや、それは問題ないんだが、ここまでサービスしてくれる理由を知りたいんだ。」

「ん?珍しいことを聞いてくる人もいたもんだね。そりゃあ、

「……その為に、そんなに笑顔で過ごせるものなのか?」


 レイの問いかけに、補助員の女性は顎に手を当て少し考え、


「もしかしたら人によるかもしれないけど、仲間に死んで欲しくないのはみんなそうだろ?私たちの代わりに危険を冒して戦ってくれる戦闘員にはよりね。長く生きる為の力になれるなら、私は全て尽くしたいと考えているよ!その為に、10年以上ここで働いてるんだから!」

「……強いんだな、あなたは。」

「なあに、私にとっては当たり前の事よ!ほら、沢山食べてまた明日から頑張ってくれよ!」

「ああ、分かった。」


 少しずつ会話に慣れていくレイの姿を見て、オウロは優しく微笑んでいた。



 その日はレイの寝室が3階の端の部屋であることを確認し、各々の部屋で休憩した。




 翌日、日差しが差し込む部屋で目を覚ましたレイは、身支度をして食事処に向かう。


「おはようさん!早起きだね!」

「おはようございます。今日から正式にクエストに行くので、その準備も含めて。」

「そうかい!なら朝ごはんもたくさん食べておくれ!」

「ああ、ありがとう。」


 レイは朝から大盛りの食事を終えると、オウロも合流し2人はギルドに向かう。


「レイ君、昨日はゆっくり眠れたかい?」

「ああ、おかげで疲れも取れたよ。……美味い食事だった。」

「それは良かった!カラマタのギルド宿舎の料理は、クオリティが高くて周りの町からも一目置かれているんだよ、補助員さんもいい人だしね!」

「そうだな、もっと支払いたいくらいだ。」

「おっ、じゃあその気持ちはクエストをクリアして返そうか!この町の貢献度が、僕らギルドの人間に還元されるからね!」


 2人はそのままギルドに向かい、


「あ、おはようございます!」

「おはようございます、エリさん。早速なんですが、僕らで行けるクエスト頂けませんか?」

「レイさんとオウロさんですね、確認します!」


 エリが確認している間に、レイとオウロは作戦を立てていた。


「レイ君は、剣を使った戦いがメインになるよね?」

「ああ、今のところこの剣がしっくりきてる。」

「今のところ……か、OK、僕も拳と脚で近接メインだから、モンスターが大型の場合は挟み込む形で対処しよう。君が使える技は、力と炎の神、アレス神の秘技だよね、誰かに教わったのかい?」

「誰かというより、読んで覚えた。ペレの村の書物に書かれていたのを、そのままもらったんだ。」

「っ!?てことは、書物以外は独学かい?」


 レイは当たり前な顔で頷く。

 そこに、一切の嘘がないことは明白だった。


(独学で、しかもアレス神の高難易度の秘技を会得出来るなんて、やはり彼は記憶を失う前は相当の武人だったのか?)

「お待たせしました、レイさん、オウロさん。」


 2人に提示されたのは、Fランククエスト、イノシシ型モンスター2体の狩猟だった。

 報酬は銀貨12枚+α。


「ん?イノシシ型はFランクのモンスターなのか?」

「ええ、この近辺で多いイノシシ型はFランク、虎型はEランクのモンスターになるわ。」


 レイは虎型モンスターと戦闘経験が多かったが、敢えて口にはしなかった。


「ただ、このクエストは2組失敗しているんです。なので、追加報酬もつけられてますので、お2人もお気を付けてください。」

「了解です、強敵が出るかもしれないってことだ、警戒は怠らないでくれよ、レイ君!」

「分かった。」


 2人は、カラマタのギルドメンバーとして、初のクエストに向かった

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記憶も感情も無くしたのですが、ここは誰、私はどこですか?え、異世界ですか?え、ムリ! スズキチ @suzu34

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