概要
それは頂点へと至り、極点へ墜つ物語。
ある冬のこと。
魔法大学の講師を務める白髪のエルフ——グラシエの平穏な静寂は、空から降り注いだ号外によって打ち破られた。
告げられたのは、エルフの国を統べる女王の退位表明と、新たな女王の戴冠式の開催。
同時に布告されたのは、エルフ以外のあらゆる種族を排斥する、差別と欺瞞に満ちた新法。
その即位に異議を唱えたグラシエは、彼女の親友にして幼馴染、アディユの軽口をきっかけに、ひとつの結論に辿り着く。
——戴冠式を無茶苦茶にして、自分が女王になってしまえばいい。
誰もが手を取り合って暮らせる、明るく楽しい夢の国。
そんなものはあり得ないと知りながら、グラシエは遥か彼方の理想を目指す。
──これは、今ではすっかり忘れ去られた、二人のエルフの冬の記録。あるいは、涙で錆びた冠を、頭に乗せた女王の話。
魔法大学の講師を務める白髪のエルフ——グラシエの平穏な静寂は、空から降り注いだ号外によって打ち破られた。
告げられたのは、エルフの国を統べる女王の退位表明と、新たな女王の戴冠式の開催。
同時に布告されたのは、エルフ以外のあらゆる種族を排斥する、差別と欺瞞に満ちた新法。
その即位に異議を唱えたグラシエは、彼女の親友にして幼馴染、アディユの軽口をきっかけに、ひとつの結論に辿り着く。
——戴冠式を無茶苦茶にして、自分が女王になってしまえばいい。
誰もが手を取り合って暮らせる、明るく楽しい夢の国。
そんなものはあり得ないと知りながら、グラシエは遥か彼方の理想を目指す。
──これは、今ではすっかり忘れ去られた、二人のエルフの冬の記録。あるいは、涙で錆びた冠を、頭に乗せた女王の話。