最新話(21話)まで読んでの感想ですが、とにかくここまで読んでいただきたいです。序盤に散りばめられた謎や違和感が明らかになる瞬間は爽快で、感動すら覚えます。
幼少期に故郷と家族を失った少女、ヨウ。亡くしたはずの兄が反乱軍にいるという噂を追って国の軍に所属する彼女が、なぜ自宅が焼かれたのかといった謎に迫っていく、謎解き要素も強いファンタジー作品です。
私たちが普段、いかに「登場人物たちが自分たちと同じものの見方をしている」と思い込んで小説を読んでいるかを思い知らされます。小説という媒体だからこそ味わえる面白さ、おすすめです。
現在三節まで公開。
知的でミステリアスな異世界軍事ファンタジーです。
冒頭、兄妹の断絶を予感させる悲劇的なフラッシュフォワード。
レジーナ・ド・ラナなる人物が“我々”読み手へと託したメッセージ。
その重厚な導入に、気付けば心を掴まれていました。
読み進めるとわかるのですが、本作は「異世界ファンタジー」でありながら、その「異世界」の構築が非常にユニークです。
まず最重要モチーフは「音」「言葉」で、それにまつわる仕掛けが盛りだくさんです。
音波・周波数は身分証明、位置情報、兵器応用と、文明の基盤すら支配する法則。
加えて<言霊>こそが力の証であり、文明の礎であるとも言う……意味深な断章が世界観の奥行きを確固たるものとしています。
捜査パート、戦闘パートと、独自のギミックで知的興奮をもたらしかたと思えば、もう一つの見どころのドラマ部分でしっかり揺さぶってきます。
その中核にいるのが、主人公の一人<依り代>の少女ヨウ。
頭脳明晰ですが、大胆さとか弱さの間に揺れる人間味あふれる少女です。
そんな彼女が挑むのが、各節で登場してくる個性豊かな「犯罪者」。
取り分け爆弾魔・害雷は本作を彩る「悪の華」たち。
彼らとの手に汗握る対決が見逃せないのです。
そして音と言葉を武器にしながらも、最も大切な相手には届かない……。
その切なさが物語の通奏低音になっています。
詩的な表現が楽しく、多くの伏線の答え合わせを楽しみに結末を見届けたくなる大作。
あなたもこのリコラス沼に足を踏み入れてみませんか?
17話まで拝読しました。
静かな物語なのに、読んでいる間ずっと、無意識に息を詰めてしまいそうな作品です。
派手な展開で煽られるわけではないのに、常に足元がじわじわ冷えていくような不穏さ。
読者だけが「何かおかしい」と気づいてしまう、あの感覚にやられました。
この作品は、設定をただ説明するんじゃなくて、
登場人物が「何を知っていて、何を知らされていないか」というズレだけで、
緊張感を作っています。
同じ街で同じ時間を過ごしているはずなのに、見えている世界が決定的に違う。
そのズレの積み重ねが、気づくと後戻りできない所まで連れていかれました。
特に印象に残ったのは「名前」の扱いでした。
呼ぶこと、隠すこと、名乗れないこと。
それが相手を守る優しさにもなれば、逃げられない枷にもなる。
その不器用で、一方的な愛情の形がとても苦しくて、でも目が離せませんでした。
ここまで読み終わった後に残ったのは、安易な安心感なんかじゃなくて、
「……ここからが、本当の地獄(本番)なんだな」
です。
始まりは、國から遠く離れた郊外。
仲のいい兄妹の優しい記憶が、思い出のように描き出されます。
絵に描いたような平和な世界。
それを一瞬にして壊したのは、後の世で"オルド街虐殺事件"と呼ばれるような大事件。
あまりにも悲惨すぎるこの事件は、兄妹の絆が光るほどに嫌な色を滲ませます。
この事件で容姿が変わってしまうほどに心に傷を負った少女•ヨウ。
そんな彼女を棘の道へと進ませたのが、『オルドの亡霊』と呼ばれる噂話。
当時八歳だった少女はこの亡霊を探すため、軍人となり生きてゆくのです。
物語が進むにつれて明かされる兄妹の秘密。
記憶と想い。
さまざまな人物が織りなす、切なくも美しい物語をまだ読まれていない方はぜひ。