ゆめは、変わるんだよ。
- ★★★ Excellent!!!
人には、生まれ出た瞬間から与えられた運命、もしくはそれを、『役割』なんて言葉で言い表すのやもしれませぬ。
しかし、イザ与えられたその役割を、どこまで忠実に演じ切れるか。
そこには耐え難いほどの我慢や、葛藤が、あるのやもしれません……。
「あなたの子孫は皇子が産まれることが少なくなるでしょう。ですがもし、皇子が産まれた時こそ、それはあなたが転生した姿であり、わたくしもまた、いづこかへと産まれているでしょう。わたくしを見つけられるかがあなたへの罰です。もしわたくしを見つけられたなら、私の身はあなた以外に触れさせますまい」
この国の女神の予言である。そして、本当にこの国に皇子は滅多に生まれなくなった。
生まれた時には国をあげて女神を探し出し、皇帝の嫁になるまでは、誰も触ることすら許されなくなった。
主人公が、「翠」から、「暎花」という名、もしくは……役名が与えられてから、
その袖を触れただけでも、重たい刑を課せられるのだ。
しかし翠が欲しかった人の温もりは、そんなものじゃなかった。
どうしても、どうしてもある人に、頭を撫でて欲しかった。それだけだったのに……。
主人公は、その人の夢まで奪い、つまり「役」を奪い、変えてしまう。そうすることでしか、そばに居られなかった。
この小さい翠の恋物語は、ただただ静かで、重い。
人に与えられた役割。それが責任に変わる時、どこまで人はそれを受け入れられるのか……。
お勧めいたします。
ご一読を!!