絶対悲恋で終わりそうだと思ったのに この読後感の清々しさよ
- ★★★ Excellent!!!
現人神。
人の世に、人間の姿で現れた神のことです。
作中では女神伝説があり、皇族に男子が生まれると、花の女神がどこかに生まれ変わるのです。
主人公の翠は、その女神の生まれ変わりとして生きることになるのですが……。
こういう現人神を扱った物語は、実際に神格を持った生まれ変わりのパターンと、ただの人間だけれども神格化して扱われる普通の人間のパターンがあります。
本作は後者。
ジャンルは“恋愛”ですから、普通の人間であるのに神格化されてしまって、好きに恋愛もできないというままならない部分がクローズアップされます。
しかし、ああ、この流れは絶対悲恋で終わりそう…そう思ったのに、この読後感の清々しさはどうなっているのでしょうか。
決して、全部スッキリのハッピーエンドではない。
けれども、胸をジワリと温めて涙が滲むような。
この先に彼等の幸せを思っても間違いないような。
そんな素晴らしい結びの恋愛物語です。
お勧め致します。