自分の価値を、他人や世界に決めさせない
- ★★★ Excellent!!!
召喚即投獄、そして脱獄という衝撃的な展開で物語は始まります。なぜそんな待遇をうけるのかというと、それは主人公が種馬という能力を持って現れたせいです。
国家や王族、世界の構造がその能力だけを見て彼を定義しようとする。「お前はそうなんだから、そう生きろ」と世界から言われているのです。
だから政治と権力の話になる。この物語が途中から王位継承や国家間の思惑、勢力争いにに踏み込むのは偶然ではありません。よく考えられたお話だと思います。
でも、主人公はそんな立場を利用して成り上りたいわけじゃない。この物語の主人公は夢を語ることはないのでしょう。
代わりに面倒に巻き込まれたくない、できれば静かに暮らしたいといったことを言います。それは物語りが投獄から始まるように、酷い目にあったから。個人の人生を踏み潰すのは、いつも「大義」や「国家」だからです。
そういう選択をさせてもらえない不条理なこの世界で、主人公は自由を得ようと闘っているのでしょう。