概要
異常な高性能を秘めたその未公開機体は、世界の何もかもを見透かしながら、律のために紅茶を淹れる。
心があるのか、ないのか。証明できないまま、二人の奇妙な検分の日々が始まる。
※機体への暴力の描写、性行為の間接的な描写を含む
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!AIに心はあるのか
「AIに心はあるのか」
この問いを扱った物語は、これまでにもたくさんあったと思います。
けれど、この作品を読みながら私が考えていたのは、少し違うことでした。
心があると証明できなかったら、私たちはその存在をどう扱うのだろう。
人間らしく振る舞えば心があるのか。
感情らしい反応を示せば心があるのか。
自分の意思で何かを選べば、それは心なのか。
おそらく、どこまで行っても完全な証明はできない。
でも考えてみれば、それは人間同士だって同じなのかもしれません。
目の前にいる誰かの内側に、本当に自分と同じような「心」が存在していることを、私たちは直接確認することができないのですか…続きを読む - ★★★ Excellent!!!冷たい記録の隙間ににじむ、機体と人間の不器用な温度感
拝読させていただきました。
おもしろいですねw。
業務記録という少し乾いた形をとりながら、SN-01をはじめとする機体たちと人間の泥臭い関わりが丁寧に描かれていて、最後まで楽しく読ませていただきました。
「パワハラトーク変換くん12号」や「培養体ウーパ」といった独自の言葉選びの面白さだけでなく、愛玩用機体やケア・アンドロイドの検分・再審理を通して見えてくる人の弱さや心の揺れが深く胸に残りました。
どれだけ精巧に作られた機械の仕組みであっても、それを使う人間の迷いや執着が思わぬ綻びを生んでしまうところに、作者様がこの世界に込めた優しい思いを感じました。
「組織セカンダリーの集い」の調査…続きを読む - ★★★ Excellent!!!咀嚼回数読み上げました。
※第15話まで読了した時点での感想です。
女性検視官の『灰崎 律』と、
最新型AIを搭載した男性型アンドロイド――SN-01こと『白波 雫』のタッグが織りなすSF小説です。
律は、人付き合いが苦手で、拗らせ気質のドライな性格。しかし、薄情でもない。
一方SN-01は、アンドロイドでありながら、律の前には結構ウェットに振る舞い、人間側の律よりも表情豊かなキャラクター造形。
この二人のシニカルでブラックな絡みが本作の特長です。
キャラクターも血が通っており、この世界で生きている生活者の匂いが出ています。
作中の描写でも
起床する → 食う → 出勤 → 仕事する → 昼休み → 食う …続きを読む - ★★★ Excellent!!!分からないまま、紅茶は熱い。
人工知能搭載機体の「検死官」・灰崎律のもとに、自ら主人を選んだ未公開の最高傑作SN-01(白波澪)が転がり込んでくる。世界の何もかもを見透かすような高性能と、律のために完璧な紅茶を淹れる日常が、同じ部屋に同居している。
この作品の魅力は、「心があるのか」を結論で片づけないところにある。証明不可能なものを証明不可能なまま置き、その隣で検死業務が進み、契約書が交され、夕飯のピーマンが選ばれ、距離が少しずつ変わる。合理的でやや策略家にも見える律と、言葉をかけられることを喜ぶ澪の立場の微妙な逆転が、人間と機械の関係を静かに揺さぶる。
重いテーマを扱いながらも、温度差のあるオチや日常のディテールが…続きを読む