圧倒的な身体能力を持ちながら極度の幽霊嫌いの神代宙(かみしろ そら)。
ある日、意識不明で入院中の幼なじみのゆきのお見舞いに向かう途中、トラブルから不気味なフランス人形と事故でキスをしてしまいーー。
宙が持つスペックと極度のビビリというギャップがとにかく面白く、コメディとしての完成度の高さを感じました。
宙の謎の頑丈さや不器用さに翻弄される幼馴染みの遥との掛け合いはテンポが良く、どんどん読み進めることができます。
シリアスな怪異やホラー現象が迫っている場面でも、宙のズレた天然の言動とキレのあるツッコミが爽快です。
意志を持つ人形のシェリーが宙の突飛な行動に呆れつつも、少しずつ心を通わせていく過程も見どころだと思います。
白髪の店主やアメリといった人物たちが登場することで物語の勢いが加速し、繊細に描かれる絆には胸が熱くなるものがあります。
プロフィールを拝見し、異色の経歴をお持ちの作者様ならではの経験も、潜在的に物語に反映されているような感覚も受けました。
コミカルとホラーとバトルを楽しめる作者様ならではの世界観を、ぜひご堪能ください。
身長百九十センチ、殴られても蹴られてもビクともしない高校生・神代宙。
そんな彼が苦手なのは、お化け、幽霊――そして人形!
ところがある雨の日、捨てられていたフランス人形・シェリーと「契約」したことで、怪異の世界へ足を踏み入れることになります。
怖いものを前にすれば、本気でビビる。
それでも、大切な誰かが危険なら逃げずに前へ出る。
そんな宙と、少しずつ感情豊かになっていくシェリーの組み合わせが楽しいです。
さらに物語が進むと、人間と契約人形のコンビも少しずつ増えていき、掛け合いもバトルもどんどん賑やかに。
怪異との戦いは熱く、日常パートは笑えて、時には怪異に残された想いに切なくなることも。
怖い、可愛い、笑える、そして熱い。
人と人形が「契約」を通して絆を結んでいく、現代怪異ファンタジーです!
この作品は、人形との契約を題材にした能力バトルでありながら、「心を持つとはどういうことなのか」を丁寧に描いているところが魅力の作品だと思います。
主人公の宙と契約人形シェリーの関係から始まり、物語が進むにつれて、人形は単なる戦うための道具ではなく、人と同じように喜びや悲しみ、過去の記憶を持つ存在なのだということが自然と伝わってきます。
特に印象に残ったのが、倒した怪異にもかつて誰かと過ごした時間や想いがあったことを知る場面です。敵を倒して終わるのではなく、その存在がそこに至るまでの人生まで描こうとしているところに、この作品ならではの優しさを感じました。
また、親友を救おうとする兵士人形たちの物語も印象的でした。避けられない別れを描きながら、その先に新たな契約と居場所を用意する展開は、人間と人形の間にある絆というテーマを強く感じさせます。
単なる人形を使った能力バトルではなく、敵として現れる怪異も含め、それぞれの想いや関係性を物語の中心に置いているところが、本作の大きな魅力だと思います。
序盤までの紹介となりますが、人形たちと契約者の関係がこの先どのように広がっていくのか、これからも追いかけて行きたいと思います