文章に緊張感あってどんどん物語に引き込まれていきます。展開上でてくる謎や脅威もすぐに解決されるようなご都合主義はなく、わからないけどいったん置いておいて先に進む、という現実では当たり前の展開が行われ、迫りくる脅威に対してぎりぎりの判断で話が進んでいきます。まだ序章なのでどのように展開していくのが全く分かりませんが、久しぶりにどきどきしながら読める物語に出会えた、と歓喜しています。
目覚めた主人公の戸惑いに寄り添うように進む展開はとても丁寧で、記憶を失った彼が少しずつこの船の姿を知っていく過程に、こちらまで一緒に世界を発見しているような感覚を味わえました。無表情ながらもどこか人間らしさを滲ませる管理官クレイと、あっけらかんとした賑やかさを振りまくベル。二人の対照的なやり取りが、静まり返った船の中に確かな温もりと笑いをもたらしてくれて、物語全体の緩急がとても心地よかったです。