概要
本作も全編モキュメンタリー形式になっています。
神戸日日新聞に入社した五十嵐は、ある高校で起きた女子高生の転落死の事件について不審を覚えます。
警察は少女の死亡を自殺として処理するのですが、彼の中では過去に起きた類似の事件の記憶が呼び戻され、次第に事件にのめり込んでいきます。
そして事件関係者への取材を通して、過去に発生した幾つかの事件の真相へと迫っていくことになります。
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!事件記者五十嵐慎哉はここから始まった。
モキュメンタリーミステリーの名手、六散人さんの、事件記者五十嵐慎哉シリーズ第3弾です。3作目ですが、五十嵐記者がペーペーの頃のファーストエピソードとなります。
事件は、とある女子高生が屋上から飛び降り自殺をしたところから始まります。その事件を取材し、ひっかかりを覚えた新米記者五十嵐は、調べを進めるうち、同じような飛び降りの事件が過去に2件発生していること、そして、それら女子生徒の飛び降りには、とある美貌の男性教師が絡んでいることを、突き止めるのです。
ここからの取材と推理の積み重ねが圧巻でした。必ずしも五十嵐君は、「切れ者」と言った風情はでなくて、飄々として取材を続けていくのですが…続きを読む - ★★★ Excellent!!!証言から削り出した事実と言う針だけが、犯人を指し示す
本作は、神戸日日新聞社会部の記者、五十嵐公平が担当した最初の不可解な事件を解き明かす物語である。
学校を違えて連続する女子高生の飛び降り事件の真相を追う五十嵐記者。
尋ねるほどに錯綜する証言と、解けない複数の疑問。
やがて浮かび上がる、歪んだ愛憎の相関図。
彼は丹念な取材と情報整理能力で犯人へと迫る。
五十嵐記者には常軌を逸した推理力はない。
卓越した特殊な技能があるわけでもない。
取材の過程に華々しい理論の飛躍もない。
彼が用いるのは、丹念な聴取と証言の収集。
多数の述懐を整理し、普通の視点からの違和感を再考し、関連点を繋ぐ。
あたりまえで地道な行程だ。
だが、そこに退屈など微…続きを読む - ★★★ Excellent!!!学校という特殊で閉塞的な場所。そこで生まれた「闇」の正体は?
「学校」という場所の特殊性。そこで起こった異常な事件。それを紐解いていく過程がとてもスリリングで強烈に引き込まれました。
記者の五十嵐が若い頃に遭遇した事件。とある学校で女子生徒が飛び降りる事件が多発する。
彼女たちの身には何が起こったか。
学校という場所が持つ閉塞性だとか、思春期ならではの特殊な心理とか、この世代やこの場所には一種異様な「ルール」や「原理」というものが存在する。
一体そこでは何が発生し、彼女たちは死にいざなわれることになったのか。
関係者たちの証言によって、次第に浮き彫りになっていく闇。
果たして、本当に怪しいのは一体誰か。
中心にいると思われる人物…続きを読む - ★★★ Excellent!!!神戸日日社会部、五十嵐記者、最初の事件。
作者渾身の『事件記者、五十嵐慎哉シリーズ』
第三作目にしてエピソード零の、この
モキュメンタリー・ミステリー。
大学を出たばかりの五十嵐記者が、と或る
高校で起きた女生徒の転落死事件に小さな
引っかかり を覚えて様々な角度から取材し
調査、推理して行く。この主人公の五十嵐。
気になる事はトコトン調べなければ気が
済まないタイプ。彼はこの転落死事件にも
違和感を覚えて調査して行く。
余りにも美しい事から災いの元になって
しまった高校教師と、彼を巡る醜い争い。
高校という教育の場であるからこその
逃避と隠蔽、そして更なる罠が…。
決して、一筋縄では読めない。
それは何よりもこの作品自体…続きを読む - ★★★ Excellent!!!砂から砂金を探すように情報を探す、モキュメンタリーの本領発揮
ここ一、二年で急速に普及した叙述形式であるモキュメンタリー。無関係に見える情報を繋ぎ合わせてストーリーを編み上げる叙述は、繋げる前に、繋げる情報を選ぶところから騙し合いが始まります。
複数の事件にまつわる複数の記述。無関係な情報が多い中に埋め込まれた重要な情報。それを探し当てることは、事件捜査においても、新聞記者の取材においても、核心です。
新聞社に新卒入社した主人公は、記者としてのイロハをたたき込まれる中で、砂から砂金を探すように情報を探して学んでいきます。主人公の体験と歩調を合わせて読者も学んでいきます。
後のシリーズに繋がるファーストエピソード、ここに開幕。