概要
昨日までの世界は、雨に溶けた。残ったのは、青すぎる空と、我が家だけ。
玄関を開けたら、そこは水平線のど真ん中だった。
降り続いた雨が上がった朝、女子高生・サユキの家は、一軒まるごと「青すぎる海」に浮かんでいた。
海に立つ郵便ポスト、空を渡るサンマの群れ、食い意地の張った「マンマカリッド団」。
混乱する一家の中で、ひとり落ち着き払っているのは、屁をこき続ける祖父・シゲジイだけ。
「おいら、こういう目に遭うのは、人生で三度めなんだよ」
無人のモールでハンバーガーを焼き、扇風機をスクリューにして、一家は見知らぬ海を進む。
けれど、差出人のわからない砂の手紙に、母はひとこと「お母ちゃん」と呟いた。
誰もいないはずの椅子が、かすかに軋む。
わが家の仏壇には、どうして写真が一枚もないのだろう。
――これは、あまりに美しく、少しだけ不気味な、「青すぎる世界」の物語。
降り続いた雨が上がった朝、女子高生・サユキの家は、一軒まるごと「青すぎる海」に浮かんでいた。
海に立つ郵便ポスト、空を渡るサンマの群れ、食い意地の張った「マンマカリッド団」。
混乱する一家の中で、ひとり落ち着き払っているのは、屁をこき続ける祖父・シゲジイだけ。
「おいら、こういう目に遭うのは、人生で三度めなんだよ」
無人のモールでハンバーガーを焼き、扇風機をスクリューにして、一家は見知らぬ海を進む。
けれど、差出人のわからない砂の手紙に、母はひとこと「お母ちゃん」と呟いた。
誰もいないはずの椅子が、かすかに軋む。
わが家の仏壇には、どうして写真が一枚もないのだろう。
――これは、あまりに美しく、少しだけ不気味な、「青すぎる世界」の物語。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!青い海と、戻れない時間と、それでも続く日常と、シゲ爺の屁
読み終わったあと、しばらく窓の外の空を見てしまいました。『漂流家族』って、設定だけ見ると不思議系の漂流ファンタジーなのに、読んでいるうちに「家族の会話」や「食べ物の匂い」みたいな生活感が妙にリアルで、その温度差にどんどん引き込まれます。空飛ぶサンマやアヒルボートみたいな少し笑える光景もあるのに、ふとした場面で胸の奥に沈んでいた記憶を触られる感じがして、不思議と涙腺にきました。
特に、“思い出すこと”そのものの痛みと優しさの描き方がすごく印象的です。重いテーマを扱っているのに説教くさくなく、むしろ青空のまぶしさで包み込むような読後感がありました。シゲジイの存在も絶妙で、あの飄々とした空気…続きを読む