四十六歳で亡くなった男が目を覚ましたのは、死後の「記憶の上映室」。
家族を残して若くして亡くなった主人公に、最初はただ切なさを感じながら読んでいました。
ところが、物語が進むと、少しずつ空気が変わっていきます。
怖いのは、幽霊が出てくるからではありません。
誰かが悪意を持って、「墓あばき」をするわけでもありません。
残された人たちは、ただその後の生活を続けるために、必要なことをしているだけ。
それなのに、読んでいるこちらはだんだん落ち着かなくなってくる。
「墓まで持っていく」という言葉が、今の時代でも本当に成立するのか。
読み終わったあと、自分が死んだあとに何を残すのか、ふと考えたくなりました。
怖い。
しかも、決して他人事とは思えない。
だからこそ、一度読んでおいた方がいいと思う作品です。
一気に読んでしまいました。
死後の世界を描いた作品なのに、
怖いのは地獄でも閻魔様でもない。
残したスマホ。
使いっぱなしのアカウント。
購入履歴。
クラウドに保存したデータ。
生きている時には
「誰にも見つからなければ大丈夫」と思っていたものが、
本人のいないところで一つずつ家族に掘り返されていく。
この構造がものすごく怖くて、
同時に妙に笑えてしまいます。
しかも主人公にはちゃんと言い分があるのに、
もう死んでいるから家族へ説明することもできない。
ただスクリーン越しに
自分の秘密が暴かれていくのを見るしかない。
「墓まで持っていく」という言葉を、
文字通り墓の中まで追いかけてくるような作品でした。
読み終わった後、
自分のスマホやクラウドの中身を
ちょっと確認したくなります笑
タイトルの『墓あばき』も、
最後まで読むとかなり効いてきました。
死後の世界を描いた作品は数多くありますが、本作の切り口はとても斬新でした。
死後に待っていたのは裁きではなく、「デジタル遺品」の後始末。家族に見られたくないアカウントや購入履歴、クラウドデータを消すため、必死にIDやパスワードを思い出そうとする主人公の姿に、笑いながらも冷や汗が止まりませんでした。
コミカルな展開の裏で、家族を失望させていく現実はどこか苦く、スクリーン越しに何もできず見守るしかない主人公の姿には切なさもあります。
そして最後、タイトルの『墓あばき』の意味が腑に落ちた瞬間は思わず唸りました。
笑えるのに怖い。
怖いのに最後まで目が離せない。
現代だからこそ生まれた、新しい死後の物語でした。👏