死後、俺は記憶の上映室にたどり着いた。自分の過去を細かく振り返りながら、今回は本当に死んだのだと悟った。ならば、すべて終わりか?
上映室で家族の様子を見つめるうちに、あの触れてほしくなかった秘密が明るみに出そうになる瞬間に、俺は気づいた。しまった! かつての秘密をすべて死と共に葬り去ることが、今の俺の最大の願いだったのに。しかし、俺をよく知る子どもたちのおかげで、結局すべてが露見してしまった。
現実世界での物理的な命の終わりに続いて、今度は社会的な終焉を迎えるとはな。
俺は、二度死んだ……。
だが、それですべて終わりだろうか?
万念灰き、転生の輪廻へと向かうその先に、おそらくは次々と待ち受ける新たな“死”があるのだとしたら――
まったく! もう、笑っていられない。
死後の審判――のほうがずっと優しいのかもしれませんね。
現代技術が主人公を裁いていく。
死んだあとに家族が部屋を整理するだけなら普通の話なのに、墓まで持っていったはずの秘密が次々に掘り返されていく。その流れがかなり強烈でした。
特に面白かったのは、最初に仮想通貨の遺産が見つかって、少しだけ「家族のために残したものがあった」ように見えるところです。
そこから一気に奈落へ転がっていくので、落差がひどい。ひどいのですが、現代人なら妙に笑えない現実味があります。
長谷川さんの淡々とした案内も良かったです。
主人公がどれだけ慌てても、死後処理は事務的に進んでいく。そこに妙な可笑しさと怖さがありました。
死後の裁きというより、まずデジタル遺品整理に裁かれる話として、とても現代的で印象に残る作品でした。