概要
凪の暮らす十日野町は、置屋街から発展した風俗街。川一つ挟んだ新市街区は、高級タワマンや新しい公園が整備されている。凪は学年一位の成績で、特待生となって新市街区にある進学校に通っていた。貧困と特有の認知障害のために学校から孤立していた凪。朔や友人である二宮の助けもあり、学校生活は上向いていくが、家庭では次第に追い込まれていき――
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!解けない未来、天才少女は必死に呪縛に抗う
まるでコンピューターのような演算能力と、謎の危険予知能力を持つ不思議で不器用な貧困女子高生の凪の青春を描いた物語。
彼女は間違いなく天才だけど、それが必ずしも彼女にとって利になるという訳ではない。天才ゆえの悩みというものはあるし、風俗街に生まれた彼女は周囲の不理解や貧困にも苦しむ事になる。それでも、せめて寄り添ってあげようとするもう一人の主人公たる朔や学校のクラスメイト。まさに笑いあり涙ありの青春ではないか。遠足に出かけたり、部屋に盗聴器を仕掛けられたり。
果たして、彼女は呪縛を解いて彼女らしく生きる事が出来るのだろうか。 - ★★★ Excellent!!!知的で温かい人間ドラマ
本作は、風俗街に近い貧しい地域から進学校へ通う天才少女・湊川凪と、量子コンピュータに関心を持つ秀才の新開地朔の出会いを描いた物語です。
凪は数学的な天才でありながら、独特な認知の癖や家庭環境の影響で学校では孤立しています。
そんな彼女に興味を持った朔が話しかけたことをきっかけに、凪の世界は少しずつ広がっていきます。
天才的な知性と不器用な人間関係を併せ持つ凪というキャラクターがとても魅力的で、応援したくなる主人公でした。知的でありながら温かさのある物語で、数学や量子コンピュータというテーマが青春ドラマと自然に結びついているのも印象的です。読後には、優しい余韻が残る素敵な作品だと思いました。 - ★★★ Excellent!!!量子の脳に、もつれた二人の未解決問題
時は近未来の日本。量子コンピューターが実用段階に入り始めた中で、それに興味を持つ高校生、新開地朔は、とある研究レポートに目を通していた。
動的非対称TSP
いわゆる巡回セールスマン問題の中でも最難関とも言える問題だ。
全ての都市を1回だけ巡って、戻ってくる最短経路を求める。
ただし、A→BとB→Aの経路のコストは非対称であり、さらに、時間経過とともに都市間の移動コストや訪れるべきリスト自体が変化する。
30都市をめぐる厳密解となると、その組み合わせはもはや天文学的なものとなり、最新鋭の量子コンピューターを使っても簡単には終わらない。
そのはずだった。
だが、小休止のつもりで30分…続きを読む - ★★★ Excellent!!!脳に量子コンピューターを宿す少女との出会いは主人公をどこに導くのか
裕福な家庭が多く居住する新興の街区と風俗街を擁し貧しい人たちが暮らす街区が隣り合う街。
主人公の朔は風俗街に暮らす少女、凪と出会う。
彼女は量子コンピュータでも計算に時間のかかる難題を瞬時に解いてしまう異能を持つ。
それはまさに脳内に高性能な量子コンピュータを宿しているかのよう。
世界を変えうる能力を持った少女は、だが、その力を意識して使いこなせているわけでは必ずしも無い。強力な異能は別の認知障害の要因ともなりうる。
そして彼女は同時に貧民街ならではの経済的ネグレクトという軛も背負う。
生体量子コンピューティングというSF的な題材と格差社会という社会派要素。
そしてそれらを堅苦しく無く読ませ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!世界を演算する少女と、それに気づいてしまった少年のボーイミーツガール。
風俗街で暮らす天才女子高生・湊川凪は、世界を演算する異能を持つ。
量子計算級の解答をきっかけに、同級生の新開地朔と出会うが、家庭環境は次第に彼女を追い詰めていく。
第1章までのレビューです。
まず圧倒されるのは、凪の視線を通して歩いているかのような街の描写。読者は彼女の目を借りて、風俗街の日常に足を踏み入れることになります。
続いて浮かび上がるのが、凪の極端な凸凹感。量子コンピュータでなければ現実的に解けない計算を軽々とこなす一方で、その才能ゆえの弊害に本人が振り回されている。
なぜそんな歪みが生じるのか。
朔の視点を通して物語を追ううちに、凪が見ている世界の輪郭が少しずつ立ち上がってきま…続きを読む - ★★★ Excellent!!!Web小説の海に突如投げ込まれた、超・量子的ボーイミーツガール。
この小説の各話を見ていくと、どんどん自分が未知の世界に投げ込まれて行くような気がしてくる。
圧倒的迫力と、リアリティが生み出す二人のみずみずしい関係性を見ていると、不思議と何かの問題を解いているような気持ちになってくる。
複雑に絡まっている毛糸の玉を、作者のわかりやすく、それでいて隠すところはしっかりと隠す文体がゆっくりと、ほどいていく感覚に、あなたも心動くはずだ。
物語の最後に何があるのかはわからないが、最後まで見届けたくなる魅力を、しっかりと持っている。
二人の冒険に、正解はない。
なぜならこれは、未解決問題なのだから。 - ★★★ Excellent!!!“青春”という未解決問題に揺れる二人の未来を詠む物語
観測者(=少年)と特異点(=少女)の瑞々しい触れ合い。
そこへ<量子的演算能力>という途方もない謎が融け合った壮大な野心作です。
まず物語への没入を作り出すのは、都市風景・学校生活のリアリティ。
その中で懸命に光を探す少女・凪の姿が胸を締め付けます。
一方で主人公・朔の科学的思考が全体に一本の軸を通し、物語の現在地を見失うことはありません。
そんな彼の中でピースが繋がれていき、物語の主題が提示される第一章ラストは圧巻の一言。
そこから先はまさに予測不能。
難解な概念は混じっても、読者へ寄り添うような温かみのある文体が突き放しません。
カクヨム青春SFの紛うことなき最高峰候補作。
透き…続きを読む